音楽家の悩みを解決するブログ
震災にもコロナにもジストニアにも負けない人
2024年3月30日
ディストニア「3月11日」は過ぎてしまいましたが、今年はいつもと違う特別な思いで東日本大震災のニュースを見ていました。昨年の春から夏にかけて、福島県から吹奏楽部の高校生が通っていたのです。 クラリネットを担当するその子は左手のフォーカル・ジストニアと診断されていて、それでも大会を目指してがんば...
人物造形が素晴らしい『朝子のムジカ!!』
2023年5月8日
雑記今回は「元」吹奏楽部だった女性が大人になってから楽器を再開するお話し、和田フミ江さんの『朝子のムジカ!!』です。 (『朝子のムジカ!!』第一話より) 主人公は離婚して実家のある田舎の町に出戻った五來朝子(ごらい あさこ)という女性。 実家を整理し...
コンクール論を語らずにいられない~『BLAST』~
2023年5月7日
雑記今日は仲里はるなさんの『BLAST』です。 前回の『宇宙の音楽』は創部間もない弱小吹奏楽部が舞台でしたが、『BLAST』は最初から強豪の登坂高校吹奏楽部に下手な1年生央道晴光(おうどう はれみつ)が入るところから話が始まります。 スポーツ漫画によくあるような、...
演出でぐいぐい読ませる『宇宙の音楽』
2023年5月5日
雑記「吹奏楽の漫画なんて誰も読みたいと思ってないよ。」 作者の山本誠志さんが実際に言われたことがあるのでしょう。彼の自伝的短編『道半ばの東京。』の中で出てくる言葉です(≫ 道半ばの東京)。 この方の絵は独特の味があって初見から見やすいとは思いませんでした。が、ある...
ピーター・ノウブスの無料ズームセミナー(3/21祝)
2023年3月16日
アレクサンダー・テクニーク拙訳『日常にいかすアレクサンダー・テクニーク』(原書タイトル Mindfulness in 3D: Alexander Technique for the 21st Century)の著者ピーターを招いてオンライン・セミナーを開催します。 まだ若干の残席があります。 &nbs...
日常にいかすアレクサンダー・テクニーク
2023年2月23日
アレクサンダー・テクニーク1月に『日常にいかすアレクサンダー・テクニーク』が誠信書房から出版されました。英国のアレクサンダー・テクニーク教師ピーター・ノウブズの著作(原書タイトルはMindfulness in 3D)を翻訳したものです。翻訳者は私と竹内いすゞさん。 今日は本書のご紹介をして、最後に著者ピ...
エールとコーダ ろう者と聴者、理解と自立のものがたり
2023年1月22日
雑記年始に映画を2本観た。『エール!』(原題はLa Famille Bélier)と『CODA コーダ あいのうた』。両者は同じ内容でエールが原作、コーダはそのリメイクである。 4人家族の中で自分だけ耳が聞こえる女の子が歌の才能を見出され、本人も自分に自信を持てるようになり、最後は...
天才科学者が蒔いた脳科学の種と鍼灸
2022年12月12日
雑記この本を読んだのはその表紙に関心を引かれたからだ。 画像左下に写っている、フレームに固定された頭蓋骨。フォーカル・ディストニアの治療法である定位脳手術でもこれとまったく同じフレームが使われる。 音楽家向けの施術をしていると一定の割でフォーカル・ディストニアの患者さんに取り組むことになる。...
オルダス・ハクスリーへの違和感
2022年11月21日
アレクサンダー・テクニークオルダス・ハクスリー(1894 - 1963)は英国出身の作家である。『すばらしい新世界』というディストピア小説でSF好きの間では知られている。 晩年は神秘主義に傾倒し人間の可能性を高めることに期待と関心を抱いた。その方法として向精神薬(つまりは麻薬、ドラッグの類)の使用を肯定...
患者さんにゴッドハンド認定されました
2022年8月1日
雑記ちょっとしたきっかけで人は変わることがあります。鍼がそのための一助になれたのなら、という話です。 しばらく前のことですが遠方から、鼻抜けにお悩みのリコーダー奏者の方がいらっしゃいました。リコーダーは趣味として友だちとアンサンブルを組んで演奏しているとのこと。 わた...
すごい技術は量産器から生まれる
2022年5月26日
コントラバスコントラバス専門の職人さんに駒を調整してもらいました。 もともと私の楽器には強烈なウルフがあって、A線を弾くときは弦を弓の圧で押さえつけなければならず、またE線のA♭やGあたりはどうがんばっても音が響きません。反対にG線はギラギラした音色で、移弦のたびに違う楽器のように音が変わるの...
ウェブサイト作り直しました
2022年2月7日
雑記ウェブサイトを改訂しました。 今回はわたしにとって3代目のサイトになります。思いかえせば最初に作ったサイトは2013年、今から9年前でした。9年で3つ目というのが多いのか少ないのか分かりませんが音楽家・ミュージシャンに見てもらうためにどうしたら良いのか、それだけもがいてきたあかしで...
休日の宿題(フォーカル・ジストニア)
2021年10月31日
ディストニア当サイト内の症例ページでご案内のとおり、当院ではフォーカル・ジストニア(FD)の治療にも取り組んでいます。FDに対する施術でよくある悩ましいことはある程度治療がすすむと改善が足踏み状態になることです。 実は鍼で音楽家のFDを良い方に変化させること自体はそんなに難しくありません。変化...
左右の指先の感覚を校正する話
2021年10月28日
整動鍼尊敬する漫画家の大今良時さんが原稿の下描きを裏から描くという話をどこかのインタビュー記事で知りました。今さがしても元記事が見当たらず記憶が頼りですが、理由を2つほどあげていました。1つはアシスタントさんが先にペン入れしても下絵が消えないために(裏から光を当てて紙を透かして描いている)、2つ目はデッサ...
声が出ないのはメンタルのせいだと言われて思ったこと
2021年9月25日
喉や声のトラブルもうずいぶん前、二十歳くらいのころですが、朝起きがけの時間に声がまったく出なくなることがありました。それ以外の時間帯はがんばればなんとか声が出ましたが、朝は完全な無声。一度友人から電話がきて取ったはいいが何も言えません。「もしもーし、おーい!」と呼びかけられるもなすすべなくガチャリと切られた時の気持...
アレクサンダー・テクニークに組み込まれた進化論の諸問題
2021年7月31日
アレクサンダー・テクニーク先日、アレクサンダー・テクニークの教師養成課程を卒業した方からメッセージをいただきました。アレクサンダー・テクニークを学んだ人の中に選民思想的な考えを持つ人がいます。そのことへの批判を以前このブログに書いたことがあるのですが、その方も同じような違和感を持ってらしたそうです。 選民思...