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bodytune(ボディチューン)音楽家のための鍼灸

低音の呼吸

" 喉や声のトラブル "

2022年6月13日

たまたま偶然ですが同じ方法で低音を出しやすくなった方が2人続きました。印象に残ったので備忘録的に。

 

1人はリコーダーの方で主訴は別にありましたが随伴して低音が出づらくなっていました。もう1人は歌手の方で低音域が出にくいのが主訴でした。

 

共通していたのは喉の奥につまり感があったこと。そのため喉を緩め頚椎の動きをうながすところから施術を始めました。直後に試奏してもらうと首はよく動くようになり、出したい音に合わせて適切な状態を作ろうとしていることは分かります。しかし改善はしませんでした。

 

切り替えて次は呼吸の調整に取りかかります。基本的な考え方はこちらのクリ助さんツイートのとおりです。ただし吸う方の筋肉だけを調整しました。

 

すると次の試奏ではお二人とも低音がボーンと出るようになりました。

 

管楽器や歌の息の使い方としては高音は速い息、低音は遅い息という図式がありますが低音の遅い息はしかし少なくてよいわけではありません。むしろ低音にはたくさんの息が必要です。まとめると以下のような関係性になります。

 

高音:速い息/量は少なくて済む

低音:遅い息/量がたくさん必要

 

今回のケースでは「量がたくさん必要」の条件を満たしたのでしょう。しかしそれであれば吐く方の筋肉を調整しても良いのではという疑問が生じます。あえてそれをせず吸う方の筋肉だけを調整したのには理由があります。

 

適切な息の安定的な供給のためです。

 

下記のツイートでバジルさんが高校生に説明している内容です。ツイートでは安定した弱音やロングトーンのためということですが条件次第では低音にも有効です。

 

ここでバジルさんが言っているのは胸郭をふくらまして息を吸う動作をしたまま息を吐く動作をするということです。吐く動作をアクセル、吸う動作をブレーキとして使うと吐く息のコントロールがしやすくなり音が安定します。

 

低音はたくさんの息が必要なこと、また安定した音にするためにはブレーキ(=吸う動作)が必要なことから調整するなら吸う筋肉の方が優先度が高いことになります。

 

これが金管楽器やリード楽器のようにアンブシュアでも息をコントロールする楽器であれば表情筋の要素が加わり、これだけでは改善しないことが多々あります。しかしリコーダーや歌にその要素はないので呼吸を調整するだけで結果が出たものと考えられます。

 

もっとも今回調整したのは主に上位肋骨の動きに関わる筋肉だったので胸骨の動きも良くなり、喉のつまり感解消に一役買ったことも否定できません。

 

またお二人ともひどい肩こりを訴えていたことが示唆になりました。肩こりの態様は人それぞれで一概には言えませんが、鎖骨・肩甲骨といった上肢帯が肋骨の方向に押し下げられ固定されることで生じる不快な重圧感や痛みなど、と一つには言えます。

 

上肢帯が肋骨に貼りつけられていたら肋骨の動きは制限され当然呼吸にも制約が出ます。よくある「肩を上げるな、脇をしめろ」という指導が必ずしも良い結果を生まない理由がこれです。

 

そのため肋骨の動きをうながす目的を持ちながら使ったツボは肩こり解消にも有効性の高いところとなりました。逆に言えば肩こりがなくなると呼吸も良くなる可能性があるということです。

 

まとめると、吸う息の量が最初から増えて吐く息を安定させるブレーキがかけられるようになり、もともと喉のあたりでやっていたこと(喉の奥のつまり感の原因)はやらなくてもよくなったので自然に消えて、低音域が出しやすくなったということです。

この記事を書いた人

2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。

2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。

はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師

 

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