アーバンの先生が残したトランペット教本
こんにちは!ハリ弟子です。
前回のブログで François Dauverné (フランソワ・ドヴェルネ)というアーバンの先生がいたと紹介しました。
ドヴェルネが生きた時代は1799年~1874年。
ナチュラル・トランペットが一般的だった時代に、バルブ式トランペットを初めて公演で使用した演奏家だったようです。
当時新発明のこの楽器を使うようベルリオーズやロッシーニといった作曲家に働きかけたと言われています。
ドヴェルネもまた教本を書いていて、フランスの図書館サイトで閲覧できました。
>>Théorie ou tablature de la trompette à pistons
ページを何枚か送ると指使いの解説が出てきます。
面白いのは半音階の運指より先に、各ピストンを押した時の自然倍音列が説明してあることです。
ナチュラル・トランペットしかない時代にピストン楽器を説明するにはこの書き方の方が分かりやすかったのでしょう。
今と逆ですね。
また各ピストンの役割が現代とは違っていたようです。
この譜例の楽器はおそらくC管で、3番を押すとE♭管になる設計のようです。
半音階の運指が今とかなり違って頭が混乱します。
ドヴェルネが残したもう1つの教本を見ると、2本ピストンの楽器が描かれていて、運指も1、2番だけでできるようになっています。
>>Méthode de trompette à pistons
長い管を使ってメインの音域で倍音列が狭くなるようにし、1、2番だけで音階を吹けるようにするのがベースの発想で、3番はキイを変えるために追加したと推測できます。
ところが、前回紹介したアーバンの教本では、運指は3ピストンで今と変わりません。
短い期間でどんどんシステムが変わっていて、現在進行形で楽器が進化する面白い時代だったのでしょうね。
2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師