長夏(土用)の病理
こんにちは!ハリ弟子です。
今朝はきれいに晴れている江古田です。
気象庁によると、昨日、関東も梅雨入りしたとみられるそうです。
「したとみられる」とはまたはっきりしない言い方ですが、なにしろ自然が相手ですから、役所としてあるいは科学者としてむしろ誠実なのかも知れません。
東洋医学的には梅雨時は長夏(ちょうか)と言います。
「四季」というように一般に季節の区分は4つで、春、夏、秋、冬です。
しかし、東洋医学は五行でものを考えるので、これに1つ加えて、春、夏、長夏、秋、冬になります。
これを鵜呑みにすると夏と秋の間の時期なので、梅雨には当てはまらずおかしいということになります。
本来は「真ん中」という意味合いで4つの季節の中心に置いているので、各季節の間の気候が不安定な時期のことを表しています。
暦では土用と言われる時期に当たり、各季節の終わりの18日間のことです。
今年(2018年)であれば、冬の土用は1月17日~2月3日、春の土用は4月17日~5月4日、夏の土用は7月20日~8月6日、秋の土用が10月20日~11月6日です。
う~ん、でも合いませんね。
同じ行事が年によって大きくずれては困るので、暦はかなり数学的に決められています。
実際の人の体と向き合う東洋医学では、現実の気象の動きと関連付けて考えればいいかな、と個人的には考えています。
そうなるとむしろ注目したいのは湿との関係です。
風、暑、湿、燥、寒という別な五行があり、長夏(土用)の位置に重なるのは湿です。
なので、今年の冬にどかっと雪が降った頃を土用と考えてもよいし、梅雨入りした今の時期も土用だし、9月の秋雨の頃も土用だし、10月後半の台風ラッシュの頃も土用でいいんじゃないでしょうか。
湿への対応に体が追いつかなくて不調が表に表れやすいところはいくつかありますが、1つが耳です。
内耳はリンパ液にひたされた器官なので、体の水分の動きが何らかの形で環境にそぐわなくなった時、突発性難聴や耳鳴り、耳閉感が発症しやすいように思います。
bodytuneでも、2月に突発性難聴を発症した方が多くいました。
春になってそれがひと段落したと思ったら、先週くらいからまた突発性難聴や耳閉感などの方が増えてきています。
やはり湿ないし気候のゆさぶりに体の対応が置いてかれることが関係するように思われます。
もう1つ、不調になりやすいのは胃腸です。
五行でも、肝、心、脾、肺、腎とあるように、脾が長夏(土用)の位置と重なります。
脾とは、現代風に言えば胃腸のことです。
「脾は湿を嫌う」という言葉があるくらい、昔からじめっとした環境でお腹を壊す人が多かったのでしょう。
昨日のように雨が降った翌日は、太陽が照ってくれれば根が水を吸って葉っぱから蒸発させてくれます。
水が下から上に動くことで植物は上に伸びて行きます。
これが健康的な植物のあり方ですが、ずっと降りっぱなしだと下から腐ってくるでしょう。
鍼灸では、太陽の代わりにお灸で熱を入れることもありますし、水の滞りを鍼をして流しやすくします。
とにかく体の中の水分が動いて、余分な水が外に出てくれる体になるように考えてツボを選びます。
さて今日は晴れましたが今年の梅雨はどんな気候になるでしょう?
生い茂る葉は長雨には明らかに耐えられないので、これからの梅雨本番に増えすぎたミントを刈るかどうか思案するハリ弟子です。
2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師