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bodytune(ボディチューン)音楽家のための鍼灸

アップ・ボウでヴァイオリンの音がゆれてしまいます

" ディストニア "

2019年2月23日

ボウイングが安定せず音にそれがあらわれてしまうことに悩むヴァイオリン奏者。

 

プロとして活動しながら数年前からこの症状が出てきて、病院で右手のフォーカル・ディストニアと診断されました。

 

症状の出方に波があり、最近もっとも気になるのはアップ・ボウの時に音がゆれてしまうことでした。

 

一番最初にやってみたことはわざと力を入れて手をグーで握り、弓を持つ力のウォームアップをすることでした。

 

それで弾いてみると本人の感覚的には少しいいということでしたが、ゆれ自体はさほど変わりませんでした。

 

他にもいろいろやってみましたがあまり進展が見られず、鍼灸施術に入りました。

 

肩甲骨と脊椎の動きを良くする意図でツボを選び、施術後にもう1度弾いてもらいました。

 

感覚的には肩こりが軽くなったりと楽になった感じはあるのですが、やはりゆれはあまり変わりません。

 

この時点で1時間半は経過していたと思います。

 

ふだんはこれで終わってしまうのですが、この時はなぜかもうひと粘りしてみようと思って、手先の動きをもう1度よく見ました。

 

するとゆれはダウンからアップに切り替わる時に起こり始めること、ちょうどそのタイミングで薬指と小指が弓から少し離れることに気づきました。

 

さらによく見ると親指の第1関節(IP関節)がダウンでは曲がっていてアップでは伸びるように切り替わっています。

 

この切り替わりがダウンからアップに変わるタイミングで起こっていたわけです。

ダウン・ボウ

アップ・ボウ

画像は僕の手でその動きを再現したものです。

 

総合すると、弓を持つ作業をもっぱら人差し指、中指、親指だけでやっていることが推測されます。

 

加えて、ダウンからアップに切り替わるタイミングでの親指第1関節の動きからはなるべく親指の力も抜こうとしているかに見えました。

 

そこで、ダウンからアップに切り替わるタイミングでこそ薬指と小指をねばっこく弓につけ続けて弾いてもらうと、ゆれはほぼ消失しました。

 

親指の第1関節については、切り替わり有りと無し両方試してもらいましたが、ゆれには関係なさそうでした。

 

この動きの意味についてはもう少し調べる必要がありそうです。

 

ここまでで2時間が経過していました。

 

最後に1つ質問してみました。

 

「力を抜けとか、脱力しろというような指導をされたことはありますか?」

 

「それはもうずっと言われ続けてきました。。」

 

この日は一定のやり方をすればゆれがおさまることまでは分かりましたが、本人の感覚的にはこうすることで手の突っ張りというか違和感が増強しました。

 

力を抜くことでうまく行ってきた経験は体に刻まれています。

 

過去の歴史と対決するのではなく、平和的に新しい体験と和解させていくにはどうしたら良いか。

 

この旅は始まったばかりです。

この記事を書いた人

2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。

2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。

はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師

 

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