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bodytune(ボディチューン)音楽家のための鍼灸

自分がフォーカル・ディストニアだと思ったら

" ディストニア "

2018年11月13日

こんにちは!ハリ弟子です。

 

もしかしたら自分はフォーカル・ディストニアではないか?

 

あるいは、

 

自分と同じような不調をネット検索などで調べていたら、フォーカル・ディストニアというのがちょうど当てはまりそうだ。

 

そんなふうに思ったら、まず治療法や対応してくれる医療機関を探し求めるのではないでしょうか。

この時、しっかりと理解しておく必要があるのは次の3つです。

 

1.フォーカル・ディストニアは原因が不明である。

 

2.病気を診断してフォーカル・ディストニアという病名をつけられるのは医師だけである。

 

3.医師の診断でも間違うことがある。

 

まず、フォーカル・ディストニアは原因が不明です。

 

最新の研究では有力な説として脳内の仕組の関与が疑われていますが、まだ完全には分かっていません。

 

また、治療法も確立されていません。

 

ネット検索するといろいろなものが出てきますが、病院も鍼灸も整体もカイロ・プラクティックも催眠療法も現時点ではすべて仮説に基づいて治療ないし施術していると思ってください。

 

なので医師や施術者の立てた仮説が自分に当てはまらない場合は期待薄です。

 

そして当てはまっているかどうかはやってみないと分かりません。

 

そこで治療や施術を受ける場合には原因が何だと考えているか聞いてみるといいかも知れません。

 

「分かりません。」と答えたら正直です。

 

「分かりませんが、ひとまず〇〇と考えて当面こういう治療・リハビリをしてみようと思います。」なら正直かつ明確なプランを持っています。

 

「原因は〇〇です。」と断言したら、その仮説以外のアプローチは期待できない可能性が高いです。

 

間違ってほしくないのは、「原因はこれ!」と断言してもうまく自分に当てはまって効果があればそれで良いのです。

 

そうではなく、長いことかかってるのに改善が見られない場合は、問題と対策が合ってないかも知れない。

 

以前、アンブシュアのディストニアと診断されて長いこと緊張を和らげる薬を処方されてるのに、症状が進み薬の量が増えた方がいらっしゃったことがあります。

 

これなどは端的に言って処方が問題解決に結びついてないので、どこかで対策を考え直すべきだろうと普通に思うわけです。

 

とは言いながらこの方についてはハリ弟子も仮説を間違えました。

 

この時は鍼灸施術ではなくアレクサンダー・テクニークの無料お試しレッスンを受けてもらったのですが、それっきりでしたので、、

 

ただ、鍼灸でもアレクサンダーでも1度だけでは仮説が当たらない方が普通です。

 

特にフォーカル・ディストニアの場合は複数の仮説を回してトライアル&エラーをしながらその方に合った方法を探るので、多少は時間がかかることもまた分かっていただきたいと思います。

 

次に、病気を診断して病名をつけられるのは医師だけということ。

 

これは法律によってそう定められています。

 

医師以外で医療っぽいサービスを提供しているのは、鍼灸、整骨、整体、カイロ、催眠療法その他いろいろありますが、ここではそういったものひっくめて施術家としておきます。

 

アレクサンダー・テクニークは治療でも施術でもなくレッスンなので教師とか先生と呼ぶのが適切ですが、診断権がない点は施術家と同じです。

 

ときどき、施術家の自己判断によると思われるディストニアの治療例をネット上で見かけることがありますが、法的には間違っています。

 

これの何がまずいかというと、ディストニアっぽく見える症状があらわれる他のもっと重い病気だった場合、本来受けるべき医療的対処が遅れることです。

 

病院の医師によりまっとうな診断がなされていれば、あらゆる可能性の中で重篤なものから順番に除外して(必要なら各種検査もした上で)、ようやくディストニアという診断がつくのでこのようなリスクはより低くなります。

 

もう1つまずい点は、ディストニアではないかも知れないものをディストニアとして施術することであらゆる不調を「ディストニア」というブラックボックスに放り込んでしまうことです。

 

本来やるべきことはディストニアっぽく見えるものをつぶさに観察して、この場合にはこのアプローチが有効というものがあればそれはブラックボックスから取り出して、治療方法が確立されたケースを増やしていくことです。

 

ディストニアの定義を独自に幅をとって解釈するのは、かえって逆行する行為であるように思います。

 

最後の医師の診断でも間違うことがあるということ。

 

前の話と相反するように見えますがこれもまた事実です。

 

一番おどろいたのは、楽器を演奏して症状が出ているところを見ないで問診だけでフォーカル・ディストニアと診断されたケースです。

 

これでは診断の必要条件を満たしていません。

 

また別なケースでは、フォーカル・ディストニアの典型的な症状にとてもよく当てはまるけれども、腱鞘炎と診断されていたこともあります。

 

この場合、医師に聞いてみてフォーカル・ディストニアのことを知らなかったら病院を変えた方がいいです。

 

知っている場合には、信頼していいように思います。

 

なぜか?

 

フォーカル・ディストニアは原因も治療法も分からない疾患です。

 

既に治療法が分かっている他の疾患でフォーカル・ディストニアに似た症状があらわれるものがあったら、まずはそれを試すことを考えると思います。

 

このようにして考えられる疾患を全部除外して最後に残るのがフォーカル・ディストニア。

 

でもそれは、あなたの病気は原因不明で治療法も分かっていませんと言うのと同じなので、なるべくこの病名を使いたくないと思う医師もいるのではないかと推察します。

 

このようなケースでは最終的な診断に至るプロセスとしての腱鞘炎の治療ということもあり得ます。

 

診断を間違っているのでは決してありません。

 

むしろ正確に丁寧に診ようとしているので、時間がかかってしまうのも致し方ないでしょう。

 

こういうことは聞かないと教えてくれない医師もいるでしょうから、コミュニケーションを良くして、なんなら自分はフォーカル・ディストニアを疑っているのだが、くらい言ってもいいかも知れません。

 

分からないまま治療が長期化すると不信がつのってしまいますので、、

 

まとめると、フォーカル・ディストニアは原因も治療法もよく分かっていないので、治療または施術を受ける場合には医師や施術者がどう考えて今の方法をとっているかよく理解しながら進めた方が良いということです。

 

ここがあいまいなまま始めると、その方法で効果がなかった時に次にどの仮説を試すか考える基準が育ちません。

 

またいろんなアイデアを持っている施術者に当たったとしても、自分が説明できないと前の経験を踏まえた次から始めることができず、時間もお金ももったいないです。

この記事を書いた人

2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。

2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。

はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師

 

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