鼻抜けに取り組む(4)
こんにちは!ハリ弟子です。
クラリネット奏者の鼻抜けにアレクサンダー・テクニークで取り組むシリーズ4回目。
前回は、腕から肋骨の動きにアプローチして呼吸に変化があり、結果、喉の痛みが少し減りました。
今日は、もう1つの着目点、股関節について書いてみます。
呼吸と股関節に何の関係があるでしょうか?
人間の胴体を大きく3つに分けると、胸の部分、お腹の部分、骨盤に分かれます(図ではそれぞれ、緑、濃いブルー、水色の丸です)。
これらを風船のような3つの袋が積み重なっていると考えます。
管楽器を吹くためには、胸とお腹と骨盤の3つの袋を上手に積み重ねて、体幹からの圧力をうまく利用して息を吐きたいところです。
そう考えると、左側と右側の人の体勢では、圧の方向がばらけてしまってちょっと残念な感じがします。
願わくば、真ん中の人のように圧の方向をうまくとらえて、上方向の力に利用できれば(実際の人体では脊椎にカーブがあるので図のようにまっすぐ上にはなりませんが)、効率良く楽器に息を吹き込めます。
圧の方向をそろえるためにはどうしたら良いでしょうか?
アレクサンダー・テクニークでは「頭が脊椎から離れる方向に動いて行ける」ことを考えていけば、胴体が自然と調整されて効率良く立たせられるようになる、と考えます。
専門的には、抗重力反応がうまく働いていると言いますが、この時、体幹の圧の方向も効率良くそろっていると考えられます。
しかし、袋をうまく積み重ねるにも、股関節が動いてくれないと骨盤部分が残念なまま残ることになります。
そこで、ハリ弟子は2つ目の提案をしました。
「股関節がもっと自由に動けても良い」
そうして吹いてもらったところ、
「喉の奥の痛みはなくなったんですが、今度はお腹がものすごく疲れます、、」
!!!
痛みに対しては効果があったようですが、変化がちょっと急だったかも知れません。
アレクサンダー・テクニークでは、部分にアプローチしているように見えて、実際には全身の使い方に影響が及ぶようなレッスンをしています。
そうすることで、今まで必要以上に使っていたところはより静かに楽に使えるように、反対に必要なのに今まで使っていなかったところはもっと使うようになります。
そのため、思いもよらないところが急に呼び起こされて活発に働き、疲労感を感じることもあります。
さて、これまでのところ、鼻抜けの前兆として喉の奥が痛くなる症状に対してアプローチしてきました。
これだけでは、鼻抜けに対して本当に有効なレッスンを提供できているか分かりません。
次回は、痛みがないのにいきなり鼻抜けが起こるという新展開をむかえます。
ハリ弟子、ピンチです!!
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2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師