アンブシュアがふるえてしまうクラリネット奏者とのレッスン
今日は月一開催の江古田レッスン会。
参加者はアンブシュアがふるえてしまうクラリネット奏者の方。
実は4月のレッスン会にご参加いただいていて今回は2度目でした。
前回のレッスンでやったことを自分なりに考えて取り組んだ結果、ふるえの問題はかなり解消していたそうです。
それが最近、緊張する出番が続いてまたふるえが出てしまい、普段の段階でもそこから抜け出せなくなったとのこと。
前回のレッスンではアンブシュア以外の体の他のところの奏法に目を向けて改善を図りました。
アンブシュアは唇まわり単独では決まっておらず、息など他の要素との相関で決まってくるものだからです。
実際それで改善を実感できていたということなので、この路線はまだ引き続き有効そうです。
今回はこれに加えて、表情筋の中で動かすのが苦手そうなものを探りました。
まず僕が思いつく限りの変顔をして真似してもらいます。
ただの変顔ではなく、特定の表情筋の作用が分かるように意図的に作った変顔です。
真似してもらいながら動きにくそうな表情筋を把握していきます。
見ていると口角の真横から下方向は上手ですが、口角より上方向や頬を顔面の骨に貼りつけておくような作用がどうも苦手なようでした。
わりと治るきっかけを鍼灸で作りやすいケースに思えたので、鍼灸施術も提案しましたが、未経験でもありやはり怖さが先に立つようでしたので、あくまでもアレクサンダー・テクニークと運動療法的な側面からアプローチすることにしました(ちなみにこれまでクラリネットに限らず金管奏者の方でもアンブシュア不調でいらした方がいますが、鍼灸で改善できたことが何度もあります)。
レッスンではアンブシュアの作り方を一緒に探求し、上唇の使い方を変えることで変顔テストでうまく動かせなかった表情筋の作用がうまく引き出されました。
また僕が手で背中を押すのに対抗して背中を押し返してもらいつつ、立ったり座ったりするエクササイズをして体幹の内部での支えを体感してもらいます。
管楽器奏者の場合、これをすると呼吸が変わり音に力が宿るといいますか、とにかく良い方向に変化することが多いのです。
今回はこの2つのメニューを中心に(他にもいろいろやりましたが)取り組んで、レッスンの時間内でふるえがほぼないくらいのところまで持っていくことができました。
この方のアンブシュアのふるえに関しては「緊張する出番」という状況との関係においてまたひと山ふた山あるかと思います。
4月と今回の2度のレッスンを経て、ふるえから抜け出すための方法を本人が見つけていけることを願っています。
2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師