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bodytune(ボディチューン)音楽家のための鍼灸

アンブシュアの感覚はどのくらいあてになるの?

" アレクサンダー・テクニーク "

2019年2月8日

昨日の「クラリネット アンブシュアの支え」の記事の続きです。

 

クラリネットのアンブシュアを作るために(これが本当に正しい理解かどうか分からないのですが)どうも唇を真ん中に寄せ集める動きと、その反対に唇を四方八方に引っ張る動きを拮抗させることで安定したコントロールを得ようとしてるのではないかと昨日は書きました。

 

例えば、望む音を出すのに100gの力をリードにかける必要があるとしたら、500gで唇を真ん中に寄せ集めて、400gで唇を四方八方に引っ張るということです。

 

500 – 400 で結果的に100gの力で唇を真ん中に寄せ集めることになります。

 

でも、最初から100gで唇を真ん中に寄せ集める力だけ使ってはいけないんでしょうか?

 

これを考えるのにはウェーバー・フェヒナーの法則という重さの感覚についての基本法則が参考になりそうです。

 

100gの重りを手にのせてこれに1gずつ重りを加えていくと、10g足したところで重さが変わったことに気がつきます。

 

次に200gの重りをのせて同じように1gずつ重りを加えていくと、今度は20g足したところで重さが変わったことに気がつきます。

 

この論を進めていくと、100gの重さを倍増させて200gにした時に人が手に受ける感覚の変化は、200gの重さを倍増させて400gにした時の感覚の変化と等しいとされています。

 

人間の感覚は絶対値で感じ取るのが難しいというお話しです。

 

一方、リードが振動して音が鳴るために必要な力は絶対値で何gかだいたい決まってると考えられます。

 

高音域、低音域、フォルテとピアノ、欲しい音色、リードの状態に応じて違いはありますが、それぞれの状況に応じて適切な力の量があるはずです。

 

それが仮に100gだとすると100gを感じ取るのにふさわしい力のサイズがあると思うのです。

 

もしかしたら100g分だけ唇を真ん中に寄せ集めるよりも、1100gで唇を真ん中に寄せ集めて1000gで唇を四方八方に引っ張る方が筋肉のコントロールとしては安定してやりやすいのかも。

 

実際には息を吐く力がほっぺたや唇を外側に押し出そうとする力など、上の2つよりもたくさんの拮抗の要素があって、さらに高音域、低音域、フォルテとピアノ、欲しい音色、リードの状態に応じても違うでしょうから、クラリネット奏者はかなり複雑な組み合わせを状況に応じてコントロールしてることになります。

 

さきほど100gの重さを倍増させて200gにした時に人が手に受ける感覚の変化は、200gの重さを倍増させて400gにした時の感覚の変化と等しいとされていると書きました。

 

差分100gで得られた感覚と差分200gで得られた感覚が同じという意味です。

 

このように感覚は相対的なものです。

 

始めのうち100gから200gの間の変化でコントロールできていたものが、吹き続けていると慣れてしまって、200gから400gでないと感じ取れなくなります。

 

これが進むと300gから600g、400gから800g、500gから1000gと、同じ感覚を得るために必要な力の量はどんどん増えていきます。

 

しかしリードが振動して音が鳴るために必要な力は絶対値です。

 

適切な量を越えたら吹けなくなります。

 

医学的にしっかりと検証する必要がありますが、顎関節をいためたりアンブシュアに不具合が起きて吹けなくなることの最初のきっかけは案外こんなところから始まるのではないかという気がしています。

 

そうすると感覚をリセットするための適切な休息や、短時間に過度な負荷を課さないための練習計画の立て方など、スポーツ界では当たり前になりつつある話がやはり音楽にも有効だなあと思うのです。

 

また、アレクサンダー・テクニークでは不必要な力は抜いて、必要な力をどこでどのように出せば良いのか学びます。

 

僕が所属するアマオケでは毎年夏にオペラ公演があり、歌手合わせではダブルキャストの2公演分を1日でリハします。

 

そういった長時間のリハーサルでコントラバスを弾いていても、アレクサンダー・テクニークのおかげで格段に疲れにくくなったと個人的にも感じます。

 

意図的に感覚をリセットして適切な量の力加減にするのが上手になるからだと考えています。

 

アンブシュアなどのケガの予防にも役立つスキルではないでしょうか。

音楽家のアレクサンダー・テクニーク 2Days レッスン会(第2回)

6月29日(土)9:30~12:30

セッションA:木管&金管奏者の悩みに応える相談&レッスン会(アレクサンダー・テクニーク)

講師:楠 洋介(アレクサンダー・テクニーク教師/鍼灸師)

 

6月29日(土)13:30~16:30

セッションB:音楽家のためのヨガ&アレクサンダー・テクニーク(姿勢でわかること)

講師:楠 道子(アレクサンダー・テクニーク教師/ヨガ・インストラクター)

 

6月30日(日)9:30~12:30

セッションC:弦楽器奏者の悩みにこたえる相談&レッスン会(アレクサンダー・テクニーク)

講師:楠 洋介(アレクサンダー・テクニーク教師/鍼灸師)

 

6月30日(日)13:30~16:30

セッションD:音楽家のためのヨガ&アレクサンダー・テクニーク(姿勢でわかること)

講師:楠 道子(アレクサンダー・テクニーク教師/ヨガ・インストラクター)

 

いずれも場所は、スタジオI-LAB(渋谷区千駄ヶ谷3-21-6 外苑MKビルB1)

参加費(1コマ分)は、7,000円

※2コマ分ダブル参加の場合 → 12,500円

 

お申し込み、または質問・問い合わせを、お電話(080-5899-5203)またはメール(office@btune-hariq.com)よりお願いいたします。

アレクサンダー・テクニーク江古田レッスン会(第7回)

次回は、2019年7月7日(日)15時~17時 定員は6名まで

場所:江古田のbodytune鍼灸マッサージ院内スタジオ

参加費:4,000円

1人20分程度のレッスンを順番に行なって、みんなでシェアします。

申し込み、お問い合わせは080-5899-5203までお電話か、office@btune-hariq.comまでメールください。

または、お問い合わせフォームのページから送信いただいてもけっこうです(>>ご相談・お問い合わせ)。

この記事を書いた人

2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。

2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。

はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師

 

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