レッツ・エンド・ゲイン
昨日は同じ学校でアレクサンダー・テクニークを学ぶオーボエ奏者の方がいらしてくれて、アレクサンダー・テクニークについて話し込んでしまいました。
かなり根源的な深い疑問をぶつけられて、こちらも刺激になりとても勉強になりました。
アレクサンダー・テクニークの用語にエンド・ゲイニング(End-Gaining)という言葉があります。
これは、とにかく結果を出すためにやり方を考えずやみくもに行動したり考えたりしてしまうことです。
サッカーで言うと、ゴール目前で、そばにフリーの味方がいるにも関わらず目の前の相手ディフェンスにドリブルで突っ込んで行くようなことです。
アレクサンダー・テクニークでは、こんなシーンでも冷静に状況に気づいていて、相手ディフェンスにつっかかりそうになる気持ちを抑制し、合理的に考えてより得点可能性が高いフリーの味方へのパスを選ぶことを学びます。
こちらをミーンズ・ウェアバイ(Means-whereby:結果に至る手段・プロセス)と言います。
もちろんこれは例えなので、金管楽器のハイノートに当てはめれば、唇だけをぎゅっと締めつけて音がつぶれてしまうのがエンド・ゲイニング、ハイノートを出すために必要なこと(プレス、アンブシュア、息etc)ひとつひとつを冷静に遂行して結果ハイノートに当てるのをミーンズ・ウェアバイを使ったと言います。
そして、人間には頭と胴体と手足しかなく、手足の動きの自由度・効果性のためには頭と胴体(脊椎)がある種の協調性をもって連動している必要があり(息の自由度もこれに左右される)、この協調性を意図的に作るのがアレクサンダー・テクニークです。
さて、エンド・ゲイニングはたいていうまく行かないことなのでやめた方がいいのですが、エンドそのものを持たないでやったらどうなるか。
サッカーのたとえに戻すと、頭と脊椎の完璧な協調性があって、絶対にボール・ロストしない美しいパスワークとドリブルで90分間プレイできたら、負けない試合はできますがシュートしなければ絶対に勝てません。
ゴールをねらうためには多少無理をしなければならない局面はそりゃ出てきます。
相手ディフェンスがけずる気満々で突っ込んできたら、首も縮むでしょう。
その瞬間、アレクサンダー・テクニーク的にはよろしくない状態になってるかも知れません。
アレクサンダー・テクニークはサッカーではないので、学び方の方便として、絶対に安全な状況で純粋にアレクサンダー・テクニークだけやるのも1つの考え方です。
他方、最初からエンドを手に入れることまで含んだところでアレクサンダー・テクニークを学ぶのも1つの考え方です。
ところで、先日の高校サッカー準決勝での染野選手の2点目(4:56あたり)は本当に素晴らしかった。
状況判断、ミーンズ・ウェアバイの選択、そして決める、こんなプレイを将来代表でも見たいです。
2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師