オーボエ奏者の鼻抜けに効いたアドバイス2つ
地方でプロとして活動するオーボエ奏者の方が月に1回程度いらっしゃいます。
目的はアレクサンダー・テクニークのレッスンです。
昨年の4月ごろに大きな本番で鼻抜けが起こってしまい、それ以来調子を取り戻せなくてご相談いただいたのがきっかけでした。
いらした初めの頃は喉の奥の疲労感がひどくて長く吹き続けることができなかったですが、直近のレッスンではモーツァルトのオーボエ・コンチェルトをひと楽章分吹き切れるまでになりました。
まだ喉の奥が固くなるそうで理想の状態までは伸びしろがありますが、これまでと比較したら実用水準までは一応持ってきたと言って良いでしょう。
今後は理想までの伸びしろをどこまで追求するかで、鼻抜けの再発予防ともっといい音楽のためにできることが増えていくでしょう。
鼻抜けの起こり方にもいくつかタイプがあり万人共通の処方せんはありませんが、役に立つ人がいるかも知れないので、レッスンでの僕の提案を書きます。
提案したのは次の2つです。
1 骨盤の両サイドの固い部分(上前腸骨棘)よりも胸骨の方が前に来るようにする
2 舌を上あごの硬いところに近寄せて、思い切り強く息を吐く練習をする(ヒィーとかクシィーみたいな音が出ます)
1つ目は胴体の使い方を息を吐くのにより効率的にするための具体的な方法です。
2つ目は楽器なしで息だけで、息を吐くためのお腹の筋肉(特に腹横筋や骨盤底筋)を活性化するのと、上あごの前側にある硬口蓋を意識させることで息を後ろに通すとか喉を奥に詰まらせたりする動きを防止する方法です。
これらすべてをレッスンではアレクサンダー・テクニークの真髄である頭と脊椎の協調的な関係性を持たせながらやります。
頭と脊椎に関してはなかなか言葉だけの説明では難しく、手を使ってガイドしたり僕自身お手本をやって見せたりします。
だって、頭が脊椎から離れる方向に動き続ける、とか書いたらホラーですよね(あ、書いちった、、)。
でも本当にそういうことなんですよ。
もしこれで鼻抜けが改善したら、鼻抜けの原因が実は胴体の使い方にあったことを示唆しています。
息圧とか息のスピードとかいろいろ言われますが、いずれにせよ胴体の使い方がまずいと演奏に有利ないい息は作れません。
息の出元で起こっている問題を喉や軟口蓋で何とかしようと頑張った結果、バテが早くきて鼻抜けになってしまった、というのがこの場合のメカニズムであるように思います。
くり返しになりますが、これは万人共通の処方せんではありません。
また、アレクサンダー・テクニークの真髄の部分がやれていないがゆえにうまく行かない場合もあります。
そんな時はぜひ迷わずに僕に一度見せてください。
2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師