オーボエ奏者とのレッスン
こんにちは!ハリ弟子です。
昨日書いたブログ、息だけで音楽を奏でる練習がいきなり役に立ちました。
鼻抜けから思うように吹けなくなってしまったプロのオーボエ奏者の方とのレッスン。
遠方なのに熱心な方で、月に1回予定を調整して東京にいらっしゃいます。
聞くと、鼻抜けになる前兆として喉の奥ないし舌根のあたりが硬直するような状態になり、高音と低音の跳躍でそれが出やすいとのことでした。
このような前兆は鼻抜けになる方に共通して多いです。
今まで普通に吹けていたのが前触れなくいきなりドカンと抜けることもありますが、これは初めて抜けた時だったり、一過性で後に引くことなく普通に吹けるケースが多いです。
本人が前兆を自覚しているケースは鼻抜けになるような体の状態が癖のようになっていて、そのまま吹き続けると案の定抜けるので、途中で吹くのを休んで回避したりします。
アレクサンダー・テクニークは誰にでも同じやり方を適用するのではなく、その人が何をしているかをまず観察し、その場でその人のためのオーダーメイドのやり方を作って提案するメソードです。
なので、まずはその高音と低音の跳躍をやって見せてもらいました。
外から見る限りでは硬直するような様子というのは正直よく分かりませんでしたが、本人の自覚としてはその時もその感じがありました。
こんな時よくやるのは、いくつか違うやり方を試して結果を比較しながら原因に近づいていく方法です。
早速まず息だけで音楽を奏でる練習を何回かやってもらって、それからオーボエで跳躍パターンを吹いてもらいました。
楽器の抵抗なしで息だけで吹くと、オーボエの高音域はかなり息の圧ないしスピードを上げていることが分かります。
スーーという息の音がとても強く鳴ります。
息のウォームアップはこれで十分です。
この息に楽器をつけた結果、喉の奥の違和感はかなり解消されました。
出てきた音もまるで別物だったのでこちらもびっくりしました。
今回のケースでは、音が跳躍する時になんらかの理由で息の流れが落ちていたことが考えられます。
圧なのかスピードなのかはこれだけでは分からないので「息の流れが落ちた」とあいまいな言い方をしています。
息の流れが落ちた結果、体の他のところがバックアップとして頑張り始めた、この方の場合はそれが喉の奥だったという推理が成り立ちます。
体の他のところで頑張るのは、アンブシュアの場合もあるし、下顎の筋肉の場合もあるし、頬の筋肉の場合もあります。
いずれも、息の出し入れの際の胴体の働き方がやや足りないために起こることです。
最後に、骨盤まで含めた胴体全部をどうにかして使って息を吐く、という提案を実践していただき、鼻抜けの前兆である硬直にある程度効果を認めたので、しばらくはこれで症状の改善をはかることとしました。
2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師