息のエネルギーをロスするところ(補足)
こんにちは!ハリ弟子です。
先日のブログ(>>息のエネルギーをロスするところ)で甲状軟骨から唇までの息の通り道について書いた後で、まさにそれに言及した論文がいくつか見つかりました。
ご紹介して補足します。
まず、発音について声門から唇までの形状変化から研究したもの。
9枚目のスライドにMRIで調べた息の通り道の立体画像があります。
声門を出てすぐにいったん横に広がり、舌根の真後ろで細くせばまってから口の中で再度広がる様子がよく分かります。
けっこう複雑な形をしてますね。
次に、声門から唇までの断面積をやはりMRI画像から計測したもの。
リンク先ページの下の方にグラフ化した図があります。
これを見ても、息の通り道が声門を出ていったん広くなってから狭くなる様子が見てとれます。
思い返すと、息のエネルギー量(全圧)が摩擦抵抗などで減るのは、管路の急な拡大または縮小、曲がった構造などがあるところでした。
声門を出てから急に広がってすぐにまたせばまり曲がりも入るので、この場所は全圧を大きくロスしやすいと考えられます。
全圧がロスするので、ここを通過した後の舌先や唇などで息のスピードや圧力を上げようとしてもすぐに限界を迎えることは想像しやすいことです。
また、福岡歯科大学のサイトには横から見た気道の広さを比較したレントゲン写真があります。
リンク先の画像は右が通常の人、左が気道が狭くなっている人です。
サイト内では下あごの大きさとの関係で説明されてますが、左の画像の方があごを引くような姿勢になっていて、うっすらと見えるお肉のラインも二重あごのように見えます。
下あごの先端を頚椎の方に近づける(あごを引く姿勢)ことで、下あごと頚椎の間にお肉がだぶついて、それが気道を圧迫しているかも知れない、そんな推測も成り立ちます。
また「通常」とされている右の画像では頚椎が少し屈曲ぎみです。
そのことが気道の流れをスムーズにしているように見えるのは気のせいでしょうか。
先日のSarah WillisのMRI動画といい、頚椎の生理的前弯て本当なのか分からなくなります。
もっとも、レントゲンなのでいい絵を撮るための特殊な姿勢を作る必要があってたまたまこうなってるだけかも知れません。
まとめると甲状軟骨から唇までの息の通り道で、一番狭くなるのは上の図の黄色で囲んだ辺りです。
舌の根本の方は意図的に操作するのがなかなか難しくもあり、ただでさえ細く狭いものを無意識にもっと締めていることもあるかも知れません。
こういった無意識にやってしまっていることは、その場所をピンポイントで操作するより、体全体の姿勢的なバランスを変えてみると変わることもあります。
次回はあらためて姿勢と気道の関係について考えます。
2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師