音楽家のためのアレクサンダー・テクニーク講座(第3回)
9月28日にヨガ・インストラクターでアレクサンダー・テクニーク教師でもあるかみさんの道子といっしょに音楽家向けワークショップ、第3弾をやります。
これまでの2日間が1日になりましたが、そのぶん内容はぎゅっと詰まってます。
今回は午前の部で「脊椎の3Dムーブメント」なるものをご紹介します。
音楽家用に書かれた体メンテナンス系の本を読んで、そこに書かれたエクササイズをやってみてもいまいち効果あるのかどうか分からないことってないでしょうか?
鍼灸師として⾳楽家の体を診させていただく中で気づいたのは、演奏に不都合な不調としてあらわれやすい指先や腕、あごや舌などの疲労や痛みの多くは意外なことに脊椎の動きにくさと関連していることでした。
脊椎の各椎骨の両脇にある華佗夾脊(かだきょうせき)というツボがけっこう効くのです。
ちなみに華佗って三国志で関羽の肘を手術した伝説がありますが実在した名医です。華佗夾脊はその華佗が使ったとされるツボです。
アレクサンダー・テクニークでも脊椎の可動性には最大限の注意をはらいます。
ところが多くの本では手や足のエクササイズがメインに書かれています。
手足はもちろんたくさん動くのですが、たとえば弦楽器では真ん中の脊椎が動けることで左右の手が自由に動く余裕を作るようアジャストしてあげないと必ずどちらかの手に無理がかかります。
管楽器においても、ブレスしたり息を吐いたりするのは胴体の動きですから、つまるところ脊椎をどう動かすかが鍵です。
ところが脊椎の動きがどこかで止まっていると、その分だけ喉や舌、軟口蓋やアンブシュアを余計に使うことになります。
音のコントロールのために本来は息の流れでやるべきことを息の通り道の形を変えることでなんとかしようとするわけです。
こうしたことをきっかけにアンブシュアをさらにいじったりして調子を落としてしまう方がけっこう多いです。
実は体メンテナンス系の本をよく読むと脊椎のエクササイズらしきものも入っています。
ただ、あまりていねいに書かれていないので形を真似てやっても効果が上がりにくいのです。
なぜかというと、手足と違って脊椎の動きは自分では見ることができないし、動かしている感覚もあまりないので、できてるかどうか自分で確かめることができないからです。
どうしたらうまく伝えられるのか、僕も長いこと方法が分からないでいました。
それがベテランのカナダ人アレクサンダー・テクニーク教師マルコムの教え方を直に見て、これか!とひらめくものがあり、鍼灸の患者さん向けに少しずつ改良しながらまとめたものが「脊椎の3Dムーブメント」です。
脊椎の動きを頭・胸郭・骨盤の3部分の動きに還元して、それぞれを上下軸、前後軸、左右軸で回転させるだけなので、慣れは必要ですがだれでもできます。
大きめの鏡があればうまくできてるかどうかの確認も自分1人でできるものです。
これを始めたことで、ブレスが大幅に変わったとかボウイングの肩の痛みがだいぶ改善したとか、けっこう手ごたえを感じています。
ワークショップ午後の部はここから発展させて、かみさんの道子がより実践的に緊張やストレスに対処できる体と心のありようをヨガの動きを応用しながらお伝えします。
ねらいはそのさらに向こう側へ、音楽を演奏する願いとつながり続けるための体と心の状態に一歩でも踏み出すことにあります。
詳細はこちらからご覧ください。
音楽家のアレクサンダー・テクニーク 1Day レッスン会
9月28日(土)9:30~12:30
⾳楽家の体を演奏でも⽇常でもサポート「3Dムーブメント」
講師:楠 洋介(アレクサンダー・テクニーク教師/鍼灸師)
9月28日(土)13:30~16:30
緊張とストレスを超えた向こう側へ!舞台袖でもできるヨガ呼吸法
講師:楠 道子(アレクサンダー・テクニーク教師/ヨガ・インストラクター)
場所:スタジオI-LAB(渋谷区千駄ヶ谷3-21-6 外苑MKビルB1)
参加費:12,500円(早割10,000円)
*午前のみ、午後のみの単発受講は7,000円(早割6,000円)
*早割は8⽉末までお申込みの⽅が対象となります。
参加お申し込みはこちらから
2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師