遠くからの知らせ
" 雑記 "
以前、僕の鍼を受けてくださった患者さんが昨年中にお亡くなりになっていたことを風のたよりに聞きました。
bodytuneを開業して間もなくのころで、共通の知人を介して遠いところをわざわざいらしてくださいました。
住んでいるのが遠方で、ちょうど東京に来る用事があるからと立ち寄ってくれたのでした。
今でもはっきりと覚えています。
カーテンで仕切った施術室の中でその人は自分がガンであると言いました。
東京の病院での検査結果待ちということで、どの程度のものか詳しくは分からない状況でしたが「転移」という言葉にその人の覚悟めいたものを感じ取ったように思います。
施術はその1度きりとなりましたが、その後もSNSでゆるくつながり続けました。
ひと冬が過ぎ、ふた冬が過ぎ、ネット上でのご家族との元気そうな様子を見ているうちに、いつしか、こんな日常がずっと続くものと僕は錯覚していました。
だから、去年、SNSから誕生日の知らせが来た時も僕にとっては恒例行事として流してしまいました。
しかしその時点ですでにその人からの「いいね!」や返信コメントがつくことはなかったのですね。
自分のうかつさに対して残念な気持ちになります。
その人のアカウント写真を見ながら、あの時の施術室で話したことを思い出しています。
「今」というのは本当に短い。
猫好きのその人に思いをはせつつ、今夜くらいは飲んでもいいでしょうか。
心よりご冥福をお祈りしております。
この記事を書いた人
2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師