コンクール論を語らずにいられない~『BLAST』~
今日は仲里はるなさんの『BLAST』です。
前回の『宇宙の音楽』は創部間もない弱小吹奏楽部が舞台でしたが、『BLAST』は最初から強豪の登坂高校吹奏楽部に下手な1年生央道晴光(おうどう はれみつ)が入るところから話が始まります。
スポーツ漫画によくあるような、ストーリーとしてはある意味王道かも知れません。しかし一点だけ普通にはない問いがあります。
(『BLAST』第一話より)
コンクール是非論はツイッターなどで定期的に炎上する話題ですが、強豪校吹奏楽部を描く冒頭からこれをぶっこむ展開に驚きました。それだけ作者にとっては重要なテーマなのだと思います。
私の考えではコンクールは競技です。競技である以上評価して優劣をつけるのは必然なので、ここをとやかく言ってもしょうがありません。またそういう場だと認識して対策した選曲、練習をするのも別にいいと思っています。
ただしコンクールで高い評価が得られた演奏だけが良い演奏、コンクールで全国常連の学校が上手い学校でそれ以外は下手となってしまうと、明らかに行き過ぎです。価値基準はもっといろいろあってコンクールでの勝ち負けはあくまでそのうちの1つ、というのが本来のあり方ですから。
最新の連載では晴光の育成をどうするか、スパルタ派と自発性尊重派で部内が揺れ始めています。作者の考えるコンクール、吹奏楽、部活とは何か、メッセージのこもった展開がこれからも予想され目が離せません。
もう1つこの漫画で「うわっ!」と思ったのは音の迫力です。
(『BLAST』第一話より)
ホールで直に聞く音はイヤホンと違って体全体でビリビリ感じます。それをそのまま描いたらこうなるという絵ではないでしょうか。
これを見ただけですごい演奏に触れた時の感覚に体がなりました。音楽の漫画は他にもたくさん読んできましたが、絵で体が震えるって今までなかったです。ちょっとこれ本当にすごい。
校内の新入生歓迎演奏会のシーンでこれですから、これからどうなっちゃうんでしょう?
最後に、部長でコントラバス担当の虎山さんのフレンチとジャーマンどっちなの?疑惑について。
(『BLAST』第一話より)
フレンチっぽく見えますが他のシーンではジャーマンで弾いてるところもあり、フレンチとジャーマンが混在してるようです。
資料画像の混同ではなく虎山さんが両方使う人だとして、それぞれの持ち方のメリット、デメリットで悩むとかバス弾き特有の沼を描く回というのも見たいですね(バス弾きにしかウケませんが)。
それはともかくバス弾きの私としてはやはり部長がコントラバスというのはポイント高いです。これからも楽しみに読み続けます!
2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師