肩甲挙筋のシール鍼で肩こりが激減
こんにちは!ハリ弟子です。
昨日は皮膚運動学についてご紹介しました。
なぜ皮膚運動学が面白いと思ったかと言うと、それには鍼灸の臨床での経験も関係しています。
肩こりの患者さんを診ていた時のことです。
その方は痛みにかなり敏感で、基本的に円皮鍼(パイオネックス)を使っていました。
ある時、風池の下で僧帽筋の外縁あたり、高さで言うと天窓くらいのところに硬結を認めて、その上にパイオネックスを貼りました。
その硬結は、場所と走行的に、肩甲挙筋だったと思います。
今でも覚えていますが、貼った直後から肩甲骨の可動性が著明に向上し、本人も肩こりが激減した自覚がありました。
パイオネックスですから、せいぜい0.6mmの鍼です。
とうてい筋肉には直接の作用は期待できません。
皮膚運動学では、皮膚の移動性(可動性)、伸縮性、アラインメントの3要素を考えるそうです。
この3要素を検討して、皮膚を本来あるべき位置に戻して、持つべき可動性を回復することが治療となります。
実際の治療では、手で触れて皮膚を動かしたり、テーピングを使ったりするそうですが、もしかしたらツボの中にも同様の効果を持つものがあるのかも知れません。
手で触れて動かすのと違って、鍼灸の場合は点への働きかけになりますが、その点を探すにあたって皮膚運動学の考え方は大変興味深く、参考になりそうです。
経絡の考え方を使ってもいいのですが、残念ながら今回使ったツボは経絡上に存在しません。
鍼灸学校では、ツボは解剖学的に定められたあたかも動かないもののように教えられますが、実臨床では、別な取り方をしたり、同じツボでも効かせたい症状に応じて場所を変えるくらい、相対的なものです。
そもそも、患者さんの経絡は病によって変化しているので、その上にあるツボの位置も変わっていると考えれば経絡の理論と矛盾はしません。
でも、ではどう変わるのか?
それが分かる必要がありますが、そこは各鍼灸師の経験の世界で、理論化されたのを見たことはありません(講習会などで口頭で教えていただくことは多々あり、そういった情報が後で非常に役に立ちます)。
どう変わるのか、自分なりに考えようとした時、皮膚運動学の知見を使うと、いろいろなことがつながって意外なところに効果的なツボが見つかるのではないか、、
そんな気がしております。
2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師