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喉開き奏法と管楽器奏者の鼻抜け

" 管楽器奏者の鼻抜け "

2019年2月13日

管楽器界隈ではよく「喉を開け」と言われます。

 

僕も以前チューバを吹いていた頃、言われました。

 

どういうのが喉を開くことなのかよく分かりませんでしたが、あまり疑問にも思わず、人にも聞きませんでした。

 

なので完全に自己流で喉を開けて吹くようにしていました。

 

その時のことを思い出して、喉を開こうとして自分がやっていたことを再現してみたら、驚いたことに実際には閉めていました。

 

自分だけかな?と思って何人かにやってもらったら、みんな喉を開こうとして同じことをしていました(サンプル数名ですが)。

 

実際には全員、舌根を上げて軟口蓋に近づけていたのです(息の通り道自体はかえってせまくなる)。

これでちょっとピンときたことがあります。

 

舌根部を上げる筋肉に口蓋舌筋という筋肉がありますが、この筋肉は軟口蓋を下げる作用もあります。

 

きちんと検証する必要がありますが、「喉を開け」という指示を受けて舌根を上げる動きがそれだと思ってやってる場合、これが原因で軟口蓋が下がり鼻抜けを起こすことがあると思われます。

 

思い返してみると「喉を開け」と言う指導者で実際にそれを本来の意味どおりやってるか確認しに来た人はいませんでした。

 

先生が悪いわけではなく、聞かなかったこちらもこちらです。

 

でも、本来の意味での「喉を開け」と違うやり方をしてる人がかなりいるだろうことは容易に想像できます。

 

ではなぜ舌根を上げると喉を開いているように感じるのでしょうか?

 

人それぞれ感覚が違うのでこれという答えはありません。

 

あくまでも僕のケースで言います。

 

もともと緊張したり息が足りなくて苦しくなると姿勢が反るというか、頭を後ろに引く癖が僕にはあります。

 

こうすると気道も後ろに引かれて空気の通り道がせまくなります。

 

喉まわりの筋肉のバランスが変わって、舌骨も後ろに引かれます。

 

舌骨には舌が乗っかっているので、舌の根本も後ろに引かれているでしょう。

 

たいがいこんな時ですね、指揮者から「喉を開けろ」と言われたのは。

 

舌の根本が後ろに引かれると咽頭のスペースがせまくなりますが、舌根を持ち上げると咽頭が広くなるような感覚がします。

 

僕の場合はこれを「喉を開く」と感じていました。

 

実際のところ、舌骨(だけでなく甲状軟骨など含め)が過度に後ろに引かれたまま固定されると、声が出しづらい、食べ物が飲み込みにくい、痛みがある、など病的な症状になることもあるようです。

 

また筋緊張性発声障害では舌骨が過度にずり上がるケースが報告されています。

 

>>舌骨の位置に関する研究(英語)

 

これはX線ででも撮らないと分からないですが、もしかしたら僕の舌骨もずり上がり気味だったかも知れません。

 

そして、このタイプの発声障害に鼻咽腔閉鎖不全(=軟口蓋が上がらない)の症例があります。

 

>>muscle tension dysphonia(MTD)症例の音声治療について

 

こうしたことから、舌骨の位置、咽頭のスペース、舌根の状態と鼻抜けに何か関係があることを示唆してる気がするのです。

 

肺から出る空気のスピードが一番上がるのは、本来は空気の通り道が一番細くなるアンブシュアのはずです。

 

しかし咽頭がせまくなっているとそこでいったんスピードが上がって口の中でまた落ちるというエネルギー・ロスがあり、アンブシュアでスピードを上げるのが大変になります。

 

この意味では、まれにですが楽器を吹きながら無自覚に声が出てしまうのも、声帯で息の通り道をせばめているので同じリスクがある可能性があります。

 

もちろん舌根や舌骨が上がるのが絶対にダメということはありません。

 

サラ・ウィリスのMRI動画を見てもそのような位置を通過することはよくあります。

 

 

言いたいのは、出そうとする音に見合わないのにその位置に固定されてるとしたら、それが無理を生んでいるのかも、ということです。

 

これだとアンブシュアの位置で適切な息を作るのが難しい気がします。

 

また、なぜそうなっているのか分からないでどこかが頑張ることで解決しようとして、さらに喉が頑張るという悪循環もあり得ます。

 

3月末の音楽家のアレクサンダー・テクニーク 2 Days レッスン会ではこうしたことも詳しく解説しながらレッスンを進めます。

 

早期割引終了まであと16日です。

 

音楽家のアレクサンダー・テクニーク 2 Days レッスン会

3月30日(土)9:30~12:30

セッションA:クラリネット・オーボエ・サックス奏者のための鼻抜け相談&レッスン会(アレクサンダー・テクニーク)

講師:楠 洋介(アレクサンダー・テクニーク教師/鍼灸師)

 

3月31日(日)9:30~12:30

セッションB:音楽家のためのヨガ&アレクサンダー・テクニーク(姿勢でわかること)

講師:楠 道子(アレクサンダー・テクニーク教師/ヨガ・インストラクター)

 

3月31日(日)13:30~16:30

セッションC:弦楽器奏者の悩みにこたえる相談&レッスン会(アレクサンダー・テクニーク)

講師:楠 洋介(アレクサンダー・テクニーク教師/鍼灸師)

 

いずれも場所は、スタジオI-LAB(渋谷区千駄ヶ谷3-21-6 外苑MKビルB1)

参加費(1コマ分)は、通常 7,000円、早割 6,000円(2月中のお振込)

※2コマ分ダブル参加の場合 → 通常 12,500円、早割 10,000円(2月中のお振込)

 

お申し込み、または質問・問い合わせを、お電話(080-5899-5203)またはメール(office@btune-hariq.com)よりお願いいたします。

 

この記事を書いた人

2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。

2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。

はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師

 

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