腕(その4)
(こちらの記事は、2016年11月まで運用していた旧bodytuneサイトのブログ記事を転載したものです)
腕のことを考えていたらだいぶ長くなってしまいました。くどいですがまだまだ行きます(笑)。昨日まで骨と関節について検討したので今日から筋肉をのせていきます。
体幹に近い方から順々に行きますと、最初に来るのはどの筋肉でしょうか。考え方はいろいろですが、軸骨格(脊椎・肋骨)から肩甲骨・鎖骨につながる筋肉から始めようと思います。そのような筋肉をざっとあげると、僧帽筋、菱形筋、肩甲挙筋、前鋸筋があります。
まず僧帽筋ですがこれは頚椎から胸椎にかけての背骨のゴリゴリした突起から鎖骨や肩甲骨の方にのびていきます。場所によって上部、中部、下部の線維に分かれます。上部線維は頚椎から鎖骨の外側にのびて鎖骨・肩甲骨の構造全体を上からつり下げる役割があります。中部線維は胸椎の上半分からほぼ真横方向にのびて肩甲骨につきますので、肩甲骨を後ろに引き寄せます。この動きを前から見たら胸を張っているように見えるでしょう。下部線維は胸椎の下半分くらいから斜め上方向にのびて肩甲骨につきますので、肩甲骨を下に引き落とすような動きになります。
http://www.musculature.biz/40/45/post_86/
http://therapistcircle.jp/post-47/
菱形筋は頚椎下部から胸椎上部の背骨の後ろの突起から肩甲骨にのびます。なので僧帽筋中部線維と同様に肩甲骨を後ろに引き寄せる力が強いです。
http://www.musculature.biz/40/46/post_83/
http://www.musculature.biz/40/45/post_70/
肩甲挙筋は頚椎の横に突き出した突起から肩甲骨にのびており、僧帽筋上部線維とやや似かよった肩甲骨を上に引き上げるような作用をします。
http://www.musculature.biz/40/45/post_69/
勘のいい方はお分かりのように気をつけとかいわゆる胸を張った良い姿勢を意識し過ぎるとこれらの筋肉が過剰に緊張してしまい、肩こりや背中の痛みにつながっていまいます。
次に前鋸筋ですが、この筋肉は肋骨の横の方からのびて肩甲骨につきます。先にあげた僧帽筋、菱形筋、肩甲挙筋が肩甲骨を後ろに引く作用が強かったのに対して、前鋸筋は肩甲骨を前にもっていく作用があります。腕立て伏せが得意な人は多分この前鋸筋が発達しているのでしょう。この筋肉を力強く使えると肩甲骨を前に滑らせることで体幹を持ち上げられるので上腕の方にそんなに力を入れなくても腕立てできるのだと思います。
http://www.musculature.biz/40/45/post_96/
最後に肩甲骨と体幹の位置関係について。肩甲骨は背中の方から斜めに鎖骨と関節しています。もともと四つ足の動物はみな前足が体の前の方についており、そのような動物の肩甲骨は体幹のほぼ真横についています。それが木に登って枝から枝へ渡る必要が生じたことでサルの肩甲骨は少しずつ後ろにずれていったと考えられています。人間もその名残で相当後ろには寄せられてきたものの依然として真後ろというよりは斜め前に向くようにできています。これは腕の使いやすい位置関係も示唆しており、僧帽筋や菱形筋をフル稼働していわゆる胸を張った気をつけの姿勢をとると楽器演奏のような複雑動作はやりづらいのです。肩甲骨をあまりに後ろに寄せると腕に向かう血管や神経が鎖骨と肋骨の間にはさまれてしびれやだるさを生むこともあり得ます。やはり自然にデザインされたように体を使うことは大事です。
http://web.kyoto-inet.or.jp/people/irisiris/studies/joint03.html
以上、腕(その4)でした。次回は上腕の筋肉について進めてまいります。
最後までお読みいただきどうもありがとうございます。
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2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師
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