巻き肩を指摘する前に
" アレクサンダー・テクニーク "
先日、何か月も肩こりと腕の重だるさ、腰痛が取れず心配になった音大生の方がいらっしゃいました。
人からは巻き肩であることを指摘され、肩甲骨を後ろに寄せておいた方がいいと言われるそうです。
まあ言いたいことは分かります。
でも目の前で後ろに肩甲骨を寄せて見せてくれたとき、肩には十分な可動性があって問題の本質はそこにはないと僕は思いました。
むしろ気になったのは頭と脊椎がどんな角度、位置関係にいるのか、また脊椎と骨盤がどんな角度、位置関係にいるかです。
ひとこと言えば、頭と脊椎が自重を効率良く支えていませんでした。
頭はただでさえ5kgの重さがあるので、脊椎を自立させてうまくバランスを取らないとあっと言う間に首や肩が疲労します。
首、肩、背中には腕を動かすための筋肉が多くありますが、それらを頭を支えることに使ってしまうのですね。
頭を支えながら同時にピアノも弾いていたわけで、それは大変です。
頭と脊椎が自重を効率良く支えるようになると腕の筋肉をもっとピアノ演奏のことに使えます。
この方は脊椎の動きが回復したら自然と首が伸びて、気になっていた肩こりがだいぶ軽くなりました。
巻き肩も、肩甲骨を後ろに寄せることも数ある腕の可動性の一部でしかないのですね。
この記事を書いた人
2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師