カラダの地図はいろいろあっていい
ある整体の技法で、股関節外転の時の脚の回転中心を仙腸関節と見なすという話を聞きました。
股関節外転の回転中心は、解剖学的にはもちろん大腿骨頭です。
しかし実際にはバランスを取るために着地してる脚の方に重心が移動し、骨盤も回転します。
そうした動き全体で見ると、回転中心はむしろ仙腸関節の辺りで捉えることができ、その方がケガの仕方や痛む場所、治し方など考える上で都合が良いということでした。
この話を聞いてから、美術解剖学者の以下のようなツイートを思い出しました。
下肢のプロポーションは、人種差もあるが、膝から上と膝から下の長さがおおよそ同じ。正面や側面からスケッチするときは、膝関節を基準にすると捉えやすい。 pic.twitter.com/fvkeLFsQRF
— 伊豆の美術解剖学者 (@kato_anatomy) December 11, 2019
膝関節の回転中心から足底までの距離と、お尻の皮膚面までの距離はだいたい同じという話です。
ツイートの図を見てもらえれば分かるとおり、お尻の皮膚面と仙腸関節は膝関節までの距離においてほぼ同じになります。
先の整体の話と合わせると、仙腸関節~膝関節~足底を脚と捉えるような動きのモデルが浮かんできます。
現代のアレクサンダー・テクニーク、ボディ・マッピングでは、解剖学的な関節の位置を基本として教えることになっています。
だから脚についてレッスンするとしたら、股関節、膝関節、足関節を教えるでしょう。
しかしこれにこだわる必要はないなあと思うわけです。
仙腸関節~膝関節~足底を脚と捉えるモデルが正しいと言っているのではありません。
目的に応じてどちらの方がより役に立つか、試してみればいいと思うのです。
試してみたら、解剖学的に正しい体の理解が常に役に立つわけでもないと気づくでしょう。
体の地図はいろいろあって、それでいい。
2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師