人間に椎骨は24個も必要なのか?
人間の脊椎の椎骨は頚椎7、胸椎12、腰椎5で計24個あります。
関節の数でいうと(数え方によりますが)50を超え、椎間板部も関節ととらえれば70以上です。
そして1個1個の骨が人体の長軸方向(垂直軸方向)に短い形をしています。
胴体の長さに比してものすごく細かい調節が可能な構造に見えます。
しかし日々生活してて、椎骨のそんな動きが役に立ってると実感することはありません。
これ、本当にそんなに必要なの?という疑問がわいてくるわけです。
たとえば指の骨に関して、馬は中指でつま先立ちするような構造で他の指は退化しています。
でも人間の場合は5本そろっています。
馬の指が1本だけ残して他は退化したように、椎骨だって本当に必要がなければ進化の過程で癒合するなり消えるなりしているはず。
逆にいうと今まだ残ってるということは、この数が必要なことの証明になります。
そう思って他の動物の椎骨について調べてみました。
そしたらなんと、クジラの多くは頚椎が癒合してるそうです。
胎生期には人間と同様7個あるそうなので、機能的に不要あるいはくっついてた方が都合が良くそのように進化したのでしょう。
また鳥類の多くは胸椎が癒合していてあえて動かない構造になっているようです。
やはり機能が構造を決定する方向で、動かない椎骨も自然の選択として有りということがこれで分かります。
してみると人間の椎骨が24個というのは(少なくとも今のところは)その必要があると考えた方が良さそうです。
その可動性をあえて殺して背骨を固めたような体の動かし方は、構造に合致しないがゆえに無理が大きく、なんらかのけがや不調につながりやすい。
現代人の歩き方を見ていると頭が左右に大きく揺れることが実に多いです。
背骨を固めてまるで1本の棒のようにしています。
エビデンスはともかくとして、こういった動きを見ると臨床的には頭痛、肩こり、腰痛になりそうだなとイメージします。
アレクサンダー・テクニークのレッスンではまさにこの脊椎と頭の動きの調節可能性をありえないほど繊細なレベルで追求しますし、鍼灸では脊椎の動きを回復するツボを使って不快な症状の解消に導きます。
そうしたものが何故良い結果を生むのか、というのが人間の体がいまだ24個の椎骨を必要とする意味なのでしょう。
2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師