手首を痛めやすいバイオリニストさんへ~手首を直そうとしていませんか?~
今日はヨガとアレクサンダー・テクニークで演奏家のお悩み解決をサポートする道子さんのブログから。
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スタジオに頻繁に来て下さる方で、
目が見えないバイオリニストの方がいらっしゃいます。
とても、チャーミングで、演奏活動も活発にされてましたが、
「手首がとても痛くなる」
と相談に来られました。
どんな時に痛くなるのか、など聞いてみると
「手をパソコン仕事でも、バイオリンでもよく使い、
白杖を持つから手首がよく痛くなる」ということでした。
「最近何か痛くなるきっかけはありましたか?」
と聞いてみると、新しい先生に付いて、新しい弓の使い方を探究中だそう。
熱心で真面目な方なので、ひたすら探求しているうちに、
痛みがましてしまって出口がわからなくなってしまったようでした。
そこでヨガのレッスンを始める前に、
弓を持ち上げるときに、まず肩のあたりを後ろに持ち上げて
動かしているのが目に入りました。
後ろより前方向に腕は使い易いこと、まずは軸が動ける状態でパフォーマンスすることが
重要なことなど、必要な動きのためにもっとできることを提案させてもらいました。
すると、動きはスムーズになり、
嬉しそうな声があがりました。
簡単なヨガポーズも合わせて動いていくと、
「いつもは手をつくと痛いのに手首が痛くないです。全身が動き易いです。」
とのこと。
すっかり痛みはとれ、演奏にも支障がなくなった、と
数日後に報告をもらいました。
面白いのは、股関節など、体の部分に痛みを感じる場合でも、
動きを阻害している原因は、しばしば別のところにあることです。
「痛み」のおこるメカニズムは、たいてい体の構造に合わない動きや
体の部分への執着にあります。
やりたいことに対しての、動きの誤解を解き、
体の構造にあった動きの新しいプランができると、
手首のように、他の体の部分の痛みが解消したり、
さらに演奏の可能性がもっと広がります。
例えば、痛みがある人に「弓を持ち上げる」という動作について、
何を思っているか聞いてみると、
手首の角度や、弓、などある部分のことにきをとられているのに気づきます。
また痛みがあると、その「部分」を直そう、と考える傾向があって、
執着することが、さらに痛みを増しているようです。
そこで腕、肩、肩甲骨など、体は、そもそも筋肉も骨もすべてつながっていている、
ということを知るだけでも、痛みや動きは変わります。
ある部分だけに負担をかけずに済むからです。
「できてるかな?」と常に部分をチェックするより、
役に立つのは、むしろ演奏のためにこそ、全身を使って集中する方法。
それを理解するために、
パターンを離れて集中するのがヨガのいいところです。
迷った時、部分に気を取られたときに、
自分を取り戻したり、そもそもやることのために自分を整える方法が
手に入りますよ。
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元記事のブログはこちらです。
2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師