解剖学やボディ・マッピング知ってるとうまく動けるのか問題
先日、かみさんとの結婚10周年で治療院を休んで1日本気で出かけてきました。
銀座に出てランチにお寿司、独りでは絶対に入らないラデュレで時間をつぶし、映画観て(天気の子、面白いです!)、アクアパーク品川でイルカ・ショー観てきました。
で、本題はそっちではなく、水族館でイルカとかお魚を見ながら思ったことです。
(このひとたち、体の構造とか知ってるわけないよな~)
(それどころか自分の姿すら見たことないかもだよね~)
(だけど自分の体の構造なりにうまく動くよね~)
アレクサンダー・テクニークを教えるための1つの方法として、ボディ・マッピングや解剖学を教えることがあります。僕もやります。
動物はそんなことしないのになんで人間だけそんなもの学ぶんでしょうか。
本当にそれ知らないと動けないんでしょうか。
アレクサンダー自身も自分のやってることを鏡で観察しながら、テクニークにつながる原理を見い出しました。
今でもアレクサンダー・テクニークの先生は生徒さんの動きを「観」ます。
でも最近、観ることの功罪を思うのです。
外部から観察した所見をもとに体に働きかけるのは鍼灸や整体など施術であればうまく行きます。
アレクサンダー・テクニークでも先生が生徒さんの動きについて考えるためには使えます。
でもそれは生徒さんが使える情報ではありません。
だって、他人の眼球から見た情報だからそりゃ当たり前ですよね。
自分自身の動きを精緻に気づきながらやるために解剖学やボディ・マッピングを学ぶのだとしましょう。
解剖的知識を基に脳内に仮想現実を構築します。
やることをやってる自分と、仮想現実に照らして自分をチェックする自分が同時に稼働することになって、やっぱり動きとしては変な感じになりませんか?
動物は多分もっとシンプルです。
脳のモードが、その時々の状況に合わせて体全部のリソース使うこと以外にないからです(って別に証明されてるわけじゃないですが、多分)。
人間の場合は脳が楽をするモードがあって、例えば座りっぱなしの後で歩き出す時、脳活動は座ってる時のままで体は歩かせようとする、なんてことが起こります。
当然、その人の歩き方からは股関節の動きが消えます。
脳のモードが最初から体全部のリソースを使うようになっていれば、股関節というリソースも有効に使われるんじゃないでしょうか。
でもそのためにはちょっとした(面倒な)脳のモード切替が必要なんです。
アレクサンダー・テクニークのレッスンで本当に伝えようとしているのは実はこの脳のモードの方だと思っています。
当然ながら生徒さんの脳に直接働きかけることはできません。
「指月のたとえ」で言えば、遠くに見える月を指し示す指として、解剖学やボディ・マッピングを使ってるわけです。
今度、ワークショップでやろうとしている3Dムーブメントもそういうものの1つなんです。
指し示すものしてもっとシャープで有効なのがあれば僕は迷わずそちらを使います。
しかし指し示すものはどこまで行っても月そのものにはなりません。
だから自分自身がなにかやる時には指ではなく月を見ている方が早いし、またその必要があるのですね。
・・・こんな深い話をするかどうか分かりませんが、9月28日(土)に1Dayワークショップやります。
音楽家のアレクサンダー・テクニーク 1Day レッスン会
9月28日(土)9:30~12:30
⾳楽家の体を演奏でも⽇常でもサポート「3Dムーブメント」
講師:楠 洋介(アレクサンダー・テクニーク教師/鍼灸師)
9月28日(土)13:30~16:30
緊張とストレスを超えた向こう側へ!舞台袖でもできるヨガ呼吸法
講師:楠 道子(アレクサンダー・テクニーク教師/ヨガ・インストラクター)
場所:スタジオI-LAB(渋谷区千駄ヶ谷3-21-6 外苑MKビルB1)
参加費:12,500円
*午前のみ、午後のみの単発受講は7,000円
2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師