フルートと肋骨、腕
アレクサンダー・テクニークとヨガをやる道子(僕のかみさん)によるレッスン記録のご紹介。
今回はフルート奏者の腕と肋骨がテーマです。
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先日の授業では、あるフルート奏者の方が、
「早くて難しくて、息が続かないところを、
もっと自由に滑らかに演奏したい」
と、自分には難しい楽曲を、持ってこられました。
ご本人の願いを元に、「息が続かない」ところで、
どんな動きをしているか、観察していきました。
すると、そもそもフルートを構える時、とくに右腕を上げてくるときに、
まず肩を少し後ろに引いて構えていているために、
肋骨の動きが少し邪魔されている様子がうかがえました。
フルートを構えるときは、当然指、手、腕全体を使う動きが生じますが、
なんとなく構えているときには、自分の腕や胴体について、
実際に使える範囲より短く使っていたり、フルートの長さについての認識が
あまりないことがあります。
改めて本人と一緒に「構える時、それから演奏するときにどんな動きが必要か」
を明らかにしていきました。
(無意識でやっている動きを意識的にしてもらったのです。)
指先から鎖骨まで「腕全体」で使えるところをすべて意識にいれてから、
フルートの長さ、自分の胴体(特に股関節や尾骨まで脊椎が続いていること)
など全身とフルートの関係を明らかにして吹くと、
息に域に余裕が出て、指の動きもなめらかになりました。
体の動きは、心理的なことも大きく影響していて、
「難しいところを吹かなくては!」
と思ったりすると、ちょっと余計に構えたり、首を縮めたりという、
恐怖に対応するときの動きの癖が出てくることがあります。
そこで、どう考えるか?自分の意図とつながり続ける練習も必要ですが、
単に「体」を認識しなおすことは、自分を現実に引き戻し、
演奏の動きに集中することに役立ちます。
今回の場合は特に「腕」についての再認識が役立ったようです。
また、「腕」と肋骨の関係ですが、息を使うときに
「肺」が重要な器官なことは知られてますが、
肺を覆っている肋骨や、その肋骨が付いている脊椎、
つまり骨や関節については忘れてしまいがちです。
そして、腕の筋肉は図のように大きく肋骨の上にかぶさっているがゆえに、
使い方が、肺の動き、息に大きく影響します。
だから息を使う楽器では「腕」も大切なのです。
「まだまだ息は続きそう!」と喜んで帰られました。
姿勢が変われば、体がわかれば、まだまだできることはたくさん!
これからの彼の演奏ができるますます楽しみですね。
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元記事のブログはこちら。
2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師