速い移弦はシングル・ピボットで
今日はコントラバス奏者澤井さんとの3回目のレッスン。
1番線から3番線など間の弦をまたいだ移弦を改善したいとのお話しでした。
題材として選ばれたのはJosef Hrabeのエチュード。
Hrabeは先日ブログに書いたシマンドルの先生です。
エチュードと言いつつ細かい音符ばかりでコンチェルトと言ってもいい内容でした。
下の頭打ちが音階で動いて上は同じパターンをくり返すフレーズ、それもけっこう快速で。
僕がやれと言われたら絶対に無理な譜面です(笑)
それを弾いてるのを間近に見て「すごいなあ・・」と思いつつ、演奏の最中に右の肩甲骨を少し前目に動かしました。
「あ、できちゃう」と驚きの声。
どういうことか澤井さんと話し合いました。
我々は各弦それぞれにいい音で鳴らすための肘の角度とか肩甲骨の位置とかを経験的に知っています。
ゆっくりとか伸ばしの時はこれが良い方に作用しますが、移弦をともなう速い動きで上下往復する時はこれがために弓の狙いが少しずれるのではないか。
1番線を弾きやすい肩甲骨の位置はわりと前目なのに対して、3番線のそれは少し後ろでも弾けます。
この動きがフレーズが速い時には間に合わないので、肩甲骨を1番線用の位置にキープして主に上腕の内外旋で移弦するのが僕が提案したやり方でした。
元のやり方が肩甲骨+上腕骨のダブル・ピボット(回旋軸)だったのに対して、後のは上腕骨だけのシングル・ピボットです。
あるいはこうも言えるかも知れません。
自転車のギア・チェンジって後輪だけについてるのと後輪+ペダルのところについてるのがあるじゃないですか。
鎖骨、肩甲骨、肘などの位置や角度のセッティングが1番線用、2番線用、3番線用、4番線用とそれぞれに1個ずつしかないのが前者です。
移弦のたびにセッティングがまるごと変わります。
これを1番線用のセッティングで2番線や3番線、4番線(はちょっときついかな・・)も弾いてみるのが後者です。
当然、3番線セッティングで1番線を弾くとか、4番線セッティングで2番線を弾くのもありで、あらゆるパターンが作れます。
後者の方が曲の要求に応じてどれがいいか試せる選択肢は増えるのではないでしょうか。
やってもだめなエラーの組み合わせも当然あるので、実際にやってみてうまく行くものを採用すればいいです。
それにしてもシマンドルより古い時代でこんなに難しいエチュードがコントラバス用に書かれていたのは驚きでした。
ベートーヴェンがドラゴネッティの演奏に触れてからコントラバスが難しくなった話が有名過ぎて、他に上手な奏者がいなかったような印象ですが、すごく弾ける人はけっこうあちこちにいたみたいです。
2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師