弦楽器奏者に役立つ動きのリソース(脊椎)
弦楽器奏者に役立つ動きのリソース、上肢(=腕)、下肢(=足)ときたら残るは胴体です。
胴体の動きはつまるところ脊椎(せきつい)、つまり背骨の動きです。
これがまた手足と違って自分の動きが見えづらい、感覚的にも体のコアの部分なので感じにくいところです。
楽器も初心者から始めてある程度うまくなってくると、練習しても自分ではなかなか上達を感じられない段階にさしかかります。
最後の最後それでもブレイクスルーするかどうかは脊椎を上手に使えるかどうかにかかってくる、そのくらい大事なポイントであるように思います。
弦楽器には右手、左手、右足、左足それぞれにやるべき仕事があります。
難しい曲になればなるほど、それぞれのやりやすい体勢が両立しなくなってきます。
右手のやりやすさを優先すると左手ができなくなり、左手のやりやすさを優先すると右足の置きどころが邪魔になってくる、といった具合。
こういう矛盾をどうにかして1つの体全体としてうまく機能させようとしたら使えるところは体の真ん中、脊椎しか残っていません。
脊椎で矛盾を吸収して体全体の動きをコントロールします。
これは模型のデモですが脊椎は意外と動けます。
前に曲がる、後ろに伸ばす、横に倒す、回旋する、倒れながららせんのようにひねるなどありとあらゆる動きに対応します。
実際の動きを見たければ、こういう本もあります。
この本はX線撮影による3D動画で骨格の動きをリアルに見ることができますが、脊椎の椎骨(ついこつ)1つ1つが意外なほど動くものだと分かって驚きました。
さて脊椎の動きを良くするにはどうしたらいいでしょう。
脊椎が動けるためには1個1個の椎骨が自由に動ける必要がありますが、胴体が下向きにぎゅっと圧縮されると椎骨の動きも悪くなります。
ここがゆるやかにスペースがあって椎骨1つ1つが動ける余地がないといけません。
そのためにアレクサンダー・テクニークでは「頭が胴体から離れる方向で」と言います。
自分では見ることも感じることも難しい、20個以上ある椎骨の動きをコントロールするのは事実上不可能なので「頭が上に」とたった1つのオーダーにしてしまうのですね。
これができていると1つ1つの椎骨が自在に動けて、手足の無理難題な動きに対して勝手にアジャストしてくれて、全体の動きが良くなるわけです。
この手の動画を探すのがまた難しい、、
でもやっぱりこれでしょう!
すごいのは両サイドの2人がゲストのヒラリーを立てるためにわざと首を縮めたりして、下手くそな雰囲気を出しつつ、でも決してしくじらないことです。
こういう芸で失敗しそうに見せる演出ができるというのは、本当は余裕があるんでしょうね。
技あり!
2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師