解剖学は役に立つ、されど、、
こんにちは!ハリ弟子です。
解剖学、機能解剖学、運動学、ボディ・マッピングなど鍼灸学校とアレクサンダー・テクニークの教師養成課程でハリ弟子はいっぱい学んできました。
解剖学、機能解剖学、運動学はそれぞれ少しずつ重なる部分があって、骨格構造、関節の可動域、筋肉の起始停止と作用といった実際の体の構造と可能な動き方、ボディ・マッピングはその認知のし方といったところでしょうか。
ただ、ボディ・マッピングは自分の体の認知のし方が実際の構造と違ってる場合にそれを現実の方に合わせるように使われることがほとんどなので、実質的には前者を学ぶこと同じで良いように思います。
これらひっくるめて解剖学系の知識とすると、解剖学系の知識はワークショップや教材作成の際はまとめやすい便利なコンテンツでありつつも、アレクサンダー・テクニークの生のレッスンで生徒さんの問題を解決するにはちょい役不足だなあと思うようになりました。
たとえば時間軸と順番と量の情報が不足しているのです。
食材を鍋に入れて火をかければ料理ができるわけではないですよね。
入れる順番、火加減、加熱時間などおいしく作るために必要な情報はもっと多いはずです。
同様に、体の構造や可能な動きの種類について知っているだけではできるようにならないこともあります。
ヨガの難しいポーズ(アーサナ)など、適切なタイミングで適切な場所が適切な方向に適切な量だけ動く必要があり、その適切さ加減がとても狭い幅の中にあって、かつ動かす順番を1つでも間違えるとポーズとして完成しないようにできていたりします。
だから、ヨガ・インストラクターをしているうちのかみさんはヨガで大切なのはポーズがとれることではなくポーズからポーズの間の動きをどうやるかだと言います。
同じことは楽器演奏のテクニックにも言えるでしょう。
弦楽器の押弦と弓を動かすタイミング、金管楽器のピストンやロータリーの動きとタンギングのタイミング、木管楽器の運指とタンギングのタイミング、どれもほとんど同じタイミングですが完全に同じではありません。
ここで必要なのはほんのわずかな時間差を作ることとそれぞれの動きの順番です。
解剖学系の知識は基本的に空間という3次元でおさまるものとすれば、これに時間軸、順番、量を足しただけで6次元。
リアルの現場ではもっと多くの情報を使っており、それらのうちのどれなら相手にうまく吸収されやすいか判断しながらいつも提案を考えています。
少し前までは解剖学系の知識は音楽家の間でほとんど知られていませんでした。
今は知ってると役に立つとの認識が当たり前になりつつあります。
これからは解剖学系の知識はお互い持っているのを前提として、もっとピンポイントで課題を解決しスキルアップに役立つものでないと相手にされない時代が来るのではないでしょうか。
こちらももっと進化しなければなりません。
2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師