アクティビティ・ワーク VS ムーブメント・ワーク
こんにちは!ハリ弟子です。
さて今日のお題のアクティビティ・ワークとかムーブメント・ワーク、ちょっと耳慣れない言葉かも知れません。
アレクサンダー・テクニークの中にそういう決まった用語があるわけではありません。
いろんな先生のレッスンを受ける中でハリ弟子の頭の中でなんとなく分類している呼び方です。
アクティビティ・ワークは楽器を演奏するとかダンスを踊るとか人前で役者として演技をするとかいったことについてレッスンすることです。
それをやる目的と文脈があり、またうまく行ったかどうかの判断ができるようなもの。
ムーブメント・ワークは動きだけを取り出してやってみることです。
ただ歩くとか、立つ、座る、寝転がる、ロールダウンするなど、特に目的も文脈も必要ありません。
そういう意味でヨガのポーズ(アーサナ)やシークエンスは究極にムーブメント・ワークと言えるかも知れません。
長い時間をかけて専門的に練習してきたことは意識しなくても特定の決まった動きを反復して正確にできるようになっています。
しかし、もっと上達したいとか、できないことをできるようにしたい時には、この意識せずにやっていることを意識的に違う通り道でやらないといけないこともあるんですね。
アクティビティ・ワークでは、こういう無意識にやってることで上達をはばんでいるポイントを先生が見て、生徒さんに違うやり方を提案します。
難しいのは、楽器を吹くとか役者として声を出すとかの意図とそのための動きとは長い年月反復練習したことで一体化しているので、部品を取り換えるように違うやり方をさっとできるとは限らないことです。
そういう場合にはいったん動きだけをやってみる、それがムーブメント・ワークです。
楽器を持たずにただ腕だけ上げてみたり、息を吐いてただ声帯を振動させてみたり、演奏とか演技とかの意図とは無関係にやるわけです。
こういうムーブメントだけをいくつか組み合わせて、準備体操のように使うアレクサンダー・テクニーク教師もいます。
先生のガイダンスがあると、自分1人では絶対思いつかないような動きの軌道で手が上がったり、普段と違う思考の通り道を経て声が出たりして、面白いなと思うわけです。
こうして意図と切り離したところで動きや思考の通り道を自在に選ぶことを練習した上で、願わくば楽器や演技など意図がある時にも通り道を選んでできるようにします。
音楽家や役者さんにもヨガや古武道を学んで本業にいかしてる人っていますよね。
こういう学び方が上手にできる人かも知れませんね。
ただ、ムーブメント・ワークは感覚を求め過ぎてかえって動きが固まるようにハリ弟子の場合には作用しがちで、それが無意図、無目的、無文脈であることと関係してるような気がしており、自分ではあまりやりません。
昔、マージョリー・バーストウが「ふとコップを持つ時の自分の手を見なさい。」と言ったそうで、マージョリーのもとで学んだキャシー・マデンが”She really meant it.”と話していました。
そういう、日常に無数に転がっている意味のある動作から学ぶことが個人的には多かったような気がします。
いい悪い、正しい間違いではなく、純粋に個人的な経験としてです。
2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師