指の動きを整理するエクササイズ開発中
こんにちは!ハリ弟子です。
今日は予告どおり楽器を保持する動きとキイ操作する動きを整理するためのエクササイズについて書きます。
「開発中」というのは効果の検証がまだ済んでいないのと、多分もっと少ない手数で効率的にできる気がしているからです。
1.手の力を抜いて前腕の回内・回外(かいない・かいがい)をする
まず、手の力を抜いて前腕の回内・回外という動きをします。
回内・回外は手首ではなく肘から先の動きです。
手の平を下に向けるのが回内、上に向けるのが回外と考えてもいいかも知れません。
この時、手の力が十分に抜けていたら、手自体の重さで手首が手の平の側に曲がったり(回内時)、手の甲の側に曲がったり(回外時)します。
指も伸びたり(回内時)、曲がったり(回外時)します。
これは特にやろうと思わなくてもそうなります。
指を動かす筋肉の多くは肘から始まって指先までつながっています。
手自体の重さで手首が動くのに対して(もし十分に力が抜けていたら)筋肉の長さは変わらないままです。
そうすると手首の動きに合わせてバランスをとるために指が勝手に曲がったり伸びたりします。
やってみても指の屈伸がなかったりしたら、おそらくは筋肉に力が入ってしまっています。
2.回外時の手関節背屈(はいくつ)のまま回内させ指を動かす
今度は、回外して手首が手の甲側に曲がった状態のままなるべく指に力を入れないて回内させます。
こうすると回内の位置にあっても指が曲がったままになると思います。
そのまま静かに指を動かします。
手首を手の甲側に曲げておくには指を伸ばす力を使うこともできますが、このエクササイズでは手首に近いところに止まる筋肉をより積極的に使います。
上から順に尺側手根伸筋(しゃくそくしゅこんしんきん)、短橈側手根伸筋(たんとうそくしゅこんしんきん)、長橈側手根伸筋(ちょうとうそくしゅこんしんきん)という筋肉が手の甲の手首に近いところに止まっています。
ここでは、これらを十分に活用して指の動きにあまり影響せずに手首を手の甲側に曲げておくことを意図しています。
3.手の甲に抵抗をかけながら指を動かす
次にやることはあえて手の甲を押して抵抗をかけながら指を動かすエクササイズです。
理想は1つ前でやった時と同じくらいの自由さ、楽さをもって指が動くことですが、多少こわばりやぎこちなさが出るのはしかたがないでしょう。
考えたいのは、手の甲にかかる抵抗に対して押し返すのは指を動かす筋肉ではなく手首に近いところに止まっている筋肉だということです。
これを思い出しながらなるべく指の動きに影響が出ないようにしていきます。
こうすることで指を動かす筋肉と手首の抵抗に対処する筋肉の使い分けをしていくのがここでの意図です。
4.親指におもりをつけて指を動かす
親指におもりをつけて指を動かします。
ペットボトルはオーボエのサムレストにかかる重さの代わりです。
実際のオーボエの重さに合わせて約700gになるよう水を入れています。
これまでの手順すべて踏まえた上でおもりをつけて、人差し指から小指の自由さ、楽さはなるべくそのままに動かします。
意外とずしっと来ますが実際にはみなさん楽器でこれやってるわけですね、すごい!
おもりは親指にひっかかっていますが「親指だけで持つ」と考えるとすぐにつらくなってきます。
親指につながって手首、肘、肩、鎖骨、肩甲骨、背骨を伝って、親指から腰のあたりまでいくつもの筋肉が連携した1つの大きな筋肉で持っていると考えると重さの感覚が変わってくるかも知れません。
その際、目線は手元ではなく向かいの壁の自分の目と同じ高さのところを見続けるようにすると、姿勢もくずれにくくなります。
なんなら実際に目の高さを正確にとって壁に目印でもつけておくといいかも知れません。
人によっては自分の目の高さが意外と上に感じることもあるでしょう。
5.親指におもりをつけた状態で棒をあてがって指を動かす
最後はおもりをつけた手に棒をあてがって指を動かします。
棒は左手で持って、右手では持つ作業はしません(右手にはあてがうだけ)。
その代わりに親指にひっかけたおもりが持った場合の楽器の重さの役割を果たします。
あらためてここまでの一連の手順を踏まえて、人差し指から小指の自由さ、楽さはなるべくそのままに棒の上で動かします。
楽器をかまえた時により近い状況で、重さを支持する動きと指を動かす動きを整理することがこのエクササイズの意図です。
くり返しになりますがこのエクササイズはまだ開発中なので、なにかに効果があるとの確証はまだありません。
これからも実践を積む中でより効果的なものができたらどんどんアップデートしていく予定です。
2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師