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bodytune(ボディチューン)音楽家のための鍼灸

集中するとうまく行きません

" アレクサンダー・テクニーク "

2018年8月9日

こんにちは!ハリ弟子です。

 

長くいらしている楽器の生徒さんがいます。

 

アレクサンダー・テクニークのレッスンでは生徒さんがやりたいことをどのようにやっているか、まずその動きを観察します。

 

見て分かることはたくさんありますが、しかしそれだけでは知り得ないこともあります。

 

一見して不自然なように見える動きでも、無自覚にやってしまっているのと何か理由があって意図的にやっているのでは大きな違いです。

 

なのでよくこう聞きます。

 

「どんなふうに考えて今のはやっていましたか?」

 

今日のポイントはここです。

 

我々は言葉でコミュニケーションしているので、こう聞かれたら言葉で回答せざるを得ません。

 

この方のやりたいことは出したい音を出すこと(出したい音はその時々で違いますが)。

 

そのために何を考えてるか聞くとしばしば「何も考えていません」という答えが返ってきます。

 

その気持ちはよく分かります。

 

言葉にした途端に本当に考えていたことからずれるからです。

 

本当に考えていたことは言葉にならない成分も大幅に含んでいます。

 

ここでこちらに求められることはこの回答も数あるうちの1つの情報として、さらに生徒さんの動きを観察することです。

 

そうすると、やり始める時に目をきょろきょろしてあちこち見ていることに気がつきました。

 

実験として、1か所決めたところを見続けながらやってもらいました。

 

望む音が得られず「集中するとうまく行きません」という答え。

 

ここで、あちこちきょろきょろしているのは周りの情報を集めているのだと仮説を立てます。

 

同じきょろきょろでも自分の内の感覚にこもっていて目が泳ぐケースもあります。

 

本当によく見ると周りの情報を集めているときは見る場所を変えるたびに焦点を合わせ直すため、目が泳ぐのとは瞳孔が微妙に違う印象になります。

 

この人がきょろきょろしながら何かやって「何も考えていません」と言うときは、実際にはものすごい速度、量、幅で欲しい音を出すためにいろんなことを考えている可能性がある。

 

こんなふうに仮説を立てながらレッスンを進めます。

 

事実がどうかは分かりません。

 

欲しい音が実現できるのならどう考えてもいいです。

 

でもレッスンでは再現性のあるプランの構築に向けて手助けしたいものです。

 

そのうちに生徒さんがこう言います。

 

「何も考えない方がうまく行くような気がします」

 

「どうしたら何も考えなくて済むかな?」

 

意味不明ですがこれでもレッスンが成立してるようです。

 

こういう方と一緒にやってると本当にこちらの観察力、想像力がみがかれます。

 

大変に興味深いレッスンを毎回させてもらっており感謝です。

この記事を書いた人

2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。

2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。

はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師

 

カテゴリー: アレクサンダー・テクニーク. タグ: , .
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