本番が不安でしょうがない時に
こんにちは!ハリ弟子です。
学内試験、コンクールに向けて練習中、という方から本番までが不安でしょうがないという相談をよく受けます。
不安というのはネガティブな感情のようにとらえられがちですが、建設的にうまく利用することもできます。
なぜなら不安を感じるということは、これから迎える本番に対して自分に何が足りないか、気づく能力があることだからです。
実際この能力が生きる場面が世の中ではあります。
企業の株主総会、タレントの記者会見などでは、出てくるであろう質問をあらかじめ予想してこう聞かれたらこう答えるという応答要領を準備するのが普通です。
それも1つ目の質問に対する答えからさらに2つ目の質問が来て、それに対する回答にまた3つ目の質問が来たらどう答えるか、このくらいしつこくシミュレーションします。
つまり応答要領を作る担当の人は不安な人の方が向いているのです。
これを聞かれたどうしよう、、と夜も眠れなくなるような性格の人の方が多くの質問を思いつくことができ、意表を突いた角度からの疑問もわいてきます。
おかげであらゆる質問に対応できる応答要領を作ることができて、実際の本番でドンピシャで当たればそれを作った担当者はお手柄になります。
不安、万歳です。
楽器演奏にこれを当てはめるとしたら、まずは不安のもとが何かを具体的にする作業から始めます。
練習していてうまく行かないところがあったら、楽譜に何でもいいのでマークをつけていきます。
次にその理由を考えて書き込んでいきます。
音が当たらない、息が苦しい、やりたいフレージングをつい忘れてしまうなどいろいろあると思います。
また楽譜とは関係ない部分でたとえば直前に緊張して手がふるえたり息がゆれたりといったこともあるかも知れません。
そういったことも箇条書きでいいので思いつく限りどこかノートにでも書きとめておきます。
こうすることで不安のもとが具体的に見えるようになります。
あとはこれらの課題に対して何をすれば良いかを考え、良いと思ったやり方を試して検証するのが練習になります。
良いと思ったやり方は採用して確度を上げて行けばいいですし、自分1人ではうまいやり方にたどり着けなさそうなら誰かのサポートを得ましょう。
そういうサポートとして楽器の先生のレッスンやアレクサンダー・テクニークのレッスンを受けるのも選択肢になるので大いに利用すればいいです。
こんなふうに準備してのぞんだ本番であれば、やることが具体的になっているので、やったことと結果の関係が明確です。
本番という環境でもやってみてうまく行ったのか、あるいはうまく行かなかったか、やると決めていたけどやれなかったのか、後で検証することができます。
また分厚い応答要領を作っても想定外の質問が出るのが避けられないように、試験やコンクールでも何かが起こってうまく行かないことはあります。
そしたらまたそれを不安のもとリストに書き込んで、次に生かすことができます。
漠然とただ不安なままのぞんだ本番だったら、こういう具体的な検証ができません。
毎回の本番をこんなふうにのぞんだら短期間でも得られる経験値は相当なものになるので、回を重ねるごとに自分のステージを上げることにつながっていくと思います。
2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師