音楽家向け鍼灸施術に音出し部屋が必要な理由
音楽家の症状に鍼灸は効くのでしょうか?
「効きます!」と言いたいところですが、ものごとはそんなに単純じゃありません。
これを考えるためにはまず「音楽家の症状」を定義しなければなりません。
とりあえず「楽器の演奏ないしは歌を唄うのに支障が出るようななんらかの不調」とします。
演奏時だけ感じる不調もあれば日常生活で感じるものとだぶる場合もあります。
とは言え「音楽家の症状」という場合はなんであれ演奏の妨げになっているものと考えます。
次に考えるのが必要とされる巧緻性のレベルです。
巧緻性とはある動作をするのにどのくらい正確に細かくやり分ける必要があるかということです。
当然、日常生活よりも楽器や歌の方が高い巧緻性を必要とします。
ヴァイオリンの運指で不具合を感じても家のドアノブを回すのは問題ないとか、会話で意思疎通するには支障ないが声楽の声としてはガサガサで使えないとかいうように。
巧緻性はまたどこまでも高みを目指すことができます。
数多くこなす仕事として及第点を与えられればいいのか、純粋に音楽表現として基準を満たしているかどうか。
ジャンルによっては先ほど使えないと書いたガサガサの声をあえて求めることもあるでしょうし、なにが良いのか一概には言えません。
このように目指す方向やレベルによって個人差がとても大きいのが「音楽家の症状」です。
これさえやっておけば大丈夫な〇〇メソッドとか、誰にでも効く〇〇法みたいな方法が通用しません。
結局のところ王道はなくて、一人一人観察して、分析、検証することで効果的なやり方をカスタマイズしています。
ただし「症状」というからには上手い・下手の問題ではなく、前はできていたのに今はできないなど現状が明らかにおかしいと本人が感じるものです。
bodytune ボディチューンでは施術の前に実際に演奏してもらって「症状」を具体的に確認します。
そこで患者さん本人と意見を交わして現状の問題点とどのようになるのが良いか要望を把握します。
動作の違和感や声の質の問題はとても感覚的です。
言葉による問診だけで音楽家の患者さんの要望を理解するのはとても難しいと思います。
実際に演奏してもらうと患者さんの言葉の意味を実際の動きや音として正確に理解でき、的確な施術につながります。
品川のカポスに音出しのできる「音楽室」があるのはそのためです。
やっぱり音楽室必須!
施術中はこんな雰囲気です。
施術後に再度音楽室に移動して演奏で効果を確認します。
次回はサックス奏者の大野真奈さんにご登場いただき、実際の施術前後の動画をご覧いただきます。
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2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師