うまく行かない時は効能の境界と条件をあぶりだすチャンス
アレクサンダー・テクニークの新米教師でよく話題になること。
「えらい先生と同じやり方したのにうまくいかなかった」
こんなときどう考えたらよいのか?
自分はそのえらい先生とは違う。
教えた相手の生徒も違う。
人が違うから違う結果になるのが当たり前。
できるようになるには同じくらいの経験年数が必要。
本当にそうでしょうか?
ものごとがうまく行くためにはそのやり方の効能の範囲内におさまっていることと、効能が生じる条件を満たしている必要があります。
たとえばアレクサンダー・テクニークの創始者アレクサンダー自身が教えるときに使った “let the head go forward and up” という言葉があります。
自分の頭がどっちの方向に動いているか自分で正確に分かる人はあまりいません。
なぜなら自分の頭を自分で見ることは不可能だからです。
アレクサンダーも前に上にしてるつもりの自分の姿を鏡で見たらやってなかったと書いてます。
つまりこの言葉は外から自分を見ることができた場合に有効な可能性があると言えます。
だとすると自分が自分にこの言葉を使って有効であるためには、筋感覚と実際にやっていることが一致していることが条件になりそうです。
こうしたことに無自覚にこのやり方を踏襲すると、先生=外から見て直す人、生徒=直される人という構造に容易に陥ります。
いつまでたっても生徒が自分でできるようにならない、あるいは自分でやるものになりません。
実はえらい先生も自分では気づかずにうまく行くための条件を整えていたり、相手の条件に合わせてやり方を変えたりしています。
しかしそれを上手に言語化できるとは限りません。
だから自分が同じことをやってうまく行かなかったときは言語化のチャンスです。
あきらめずに考えていると、語られざる適用の範囲や、効能が発揮されるための条件が整理されてきます。
こういうの考えるのが本当はティーチング・メソードじゃないのかなあ。
2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師