点灸と棒灸を見て思う単一理論のわな
" 東洋医学 "
中国の古い文献によるとお灸の始まりは動脈上にもぐさを置いて燃やしたことだそうです。
体には何か所か皮下に動脈拍動を触知できるところがあります。
手首の橈骨動脈、足首の後脛骨動脈、足の甲の足背動脈など。
そういうところにお灸をすえれば血流に影響を与えることができます。
血管上なのでそんなに大きなもぐさを置いたとは考えにくいです。
おそらく現在の点灸と同じか少し大きめくらいだったと個人的に想像します。
これに対して枇杷の葉温灸などで使うお灸は太さが違います。
この棒灸で直径2.8cm。
同じお灸ですがこうも違えば使い方のロジックが違うのが普通と思うわけです。
上の点灸は文字どおり点を意識した使い方。
一方で下の棒灸は面です。
隙間なく塗り絵のように熱を加えるのに都合の良い道具のはず。
なんですが一般的な棒灸の解説書をみると経絡経穴が書いてあってそこに当てるのが良いとされています。
枇杷の葉温灸を専門的にやっているある鍼灸師さんが「これはツボ療法とは違います」と言っていて、僕もそれでいいと思ってます。
鍼灸だからといってなんでもかんでも単一の理論で考える必要はないのではないでしょうか。
鍼、点灸、棒灸、さらに枇杷の葉をかませる隔物灸など道具はさまざまです。
道具によって治療のために利用する身体の作用機序が違います。
それによりみえている身体観も違うはずです。
無理して単一の理論にまとめるとかえって効きがあまくなる気がします。
この記事を書いた人
2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師