とうとう壁を破った気がします
定期的に僕のレッスンを受けてくださっているコントラバス奏者の澤井 慶さん。
そもそも一番最初にお会いしたのは僕が所属するアマオケの演奏会にトラとしてお越しいただいた時でした。
うちのオケはコントラバスが少なくていつも1、2名しかいません。
この時は僕1人だったので僕がトップにならざるを得ず、残り全員プロ・トラ。
僭越を通り越して申し訳ない思いで右に座っていただいたのが澤井さんでした。
これがレッスン室で先生に弾いて見せてもらうのとはまったく別の勉強になりました。
実演の現場で伸びてくるアップ・ボウに込められた意図の明確さ、書道でいう止め・払いのような1つ1つの技術が確かであるとはどういうことか、この時の本番ほど多くを学べたことはありません。
その後、澤井さんは神奈川フィルの契約団員として多忙になってしまわれ、今年1月、久しぶりにトラとしてお招きできた時に「アレクサンダー・テクニークとコントラバスでいろいろ書いてる楠さんですよね」と話しかけていただき今に至ります。
今日は澤井さんからお寄せいただいたメールを許可を得てご紹介します。
(「註」は僕が追記した説明・注釈です)
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バコーク氏の本(註:ジュディット・クラインマン、ピーター・バコーク著『音楽家のためのアレクサンダー・テクニーク』誠信書房)が届き、ゆっくりまだまだ10%くらいしか読んでないのですが、とても良い本ですね。
今まで読んだ本よりよく分かります。翻訳も素晴らしいのでしょう。
もちろん以前はアレクサンダーのレッスンを体験していなかった訳で、今はおかげさまで染みるように脳に入ってきます。
プライマリーコントロールを考えながら生活していて、モンキーの練習や前回の3ブロックの回転(註:以前、ブログ記事「最初からブレスが増し増しになるエクササイズ」で紹介したエクササイズ)などしていたのですが、とうとう壁を破った気がします。
楠さんのレッスンでやった、壁に背中に付けて立った時の上半身の安堵感があり、首の後ろ側の脱緊張感、胸椎は起こし、腰椎の屈曲を許す。
これら全てを満たしている立ち方が理解できました。
ついさっきの出来事ですが。笑
(註:このあたりの感覚的な話は人により異なるので同じようにしてもうまく行かない可能性があります)
今までと全然違い、緊張が少なく楽です。
逆にこれまでので良く演奏したりできたなって思うくらいです。ポイントは膝の柔らかさと、頭の位置(角度?)でバランスを取る事のような気がします
この立ち方でモンキー(註:伝統的アレクサンダー・テクニークのレッスンでよく使われる練習方法の1つ)をしたり、頭の位置を変えてバランスを変化してそれに対する体の反射をしていたら、体が熱くなり汗をかきました。
これをバス椅子でどう生かすか?
楽器を弾きながら、曲を弾きながらこのバランスを再現できるか?が今後課題になりそうです。
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2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師