ブレスする時の背骨の動きを考える
こんにちは!ハリ弟子です。
医療の分野では脊椎の屈曲・伸展の動きと呼吸機能の関係についていろいろと研究されています。
呼吸機能に問題をかかえる患者さんに効果的なリハビリを提供する必要があるからです。
たとえばこんな論文がネット上で公開されていて誰でも読むことができます。
こういった知見を管楽器のブレスに役立てられないかと思って読んでいます。
脊椎、と言っても呼吸との関連で注目されるのは肋骨が付着する胸椎の部分です。
胸椎の屈曲・伸展は平たく言えば背中を丸めたりのけぞらせたりする動きのことです。
医療分野では息を吸う時には胸椎は伸展、吐く時には屈曲というのがかなり定説のように扱われている印象です。
これについては真逆の説もどこかで読んだか聞いた覚えもあります。
ただ、出典がすぐに思い出せないのでもしかしたら記憶違いかも知れません。
手元にある『カパンジー機能解剖学』ではこのような図を載せていて(元の図は載せられないので本を参考に簡略化して作成)、左が胸椎伸展、右が胸椎屈曲した時の肋骨や胸骨の動きを説明しています。
真横から見た模式図ではありますが、図から受ける印象としては右の胸椎屈曲した時の方が胸郭が大きくなって息を吸うのに有利なように見えます。
でも同じカパンジーの別なところでは胸椎後弯(こうわん)が増すと呼吸機能に問題を及ぼすことが言及されています。
後弯とはつまり胸椎屈曲のことですから、やはりカパンジーも屈曲は吐くための動き、少なくとも吸うためには不利な動きと考えているようです。
胸部のレントゲン撮影動画を見てみると、わずかながら吸う時に伸展、吐く時に屈曲しているように見えます(3:07辺りから)。
いずれにせよ胸椎の屈曲・伸展の可動性があった方が、背骨が固まっているよりも呼吸にとって役に立つことは確かです。
ヨガのポーズの中には背骨の可動性を広げる動きが多く含まれています。
こういったポーズを楽器を吹く前のウォームアップに取り入れてみると、もしかしたらいいことがあるのかも。
アレクサンダー・テクニークを使って、頭が動いて体全体をそれについて行かせて、背骨がなが~くなりながら背中を丸めたりのばしたり、いろいろ試してみると面白そうです。
2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師