声を失ったデルサルトが選んだ道
こんにちは!ハリ弟子です。
昨日のつづきです。
コンセルヴァトワールの教育で声が出なくなったデルサルトは、まず、複数の医師に診てもらいます。
その中には、ベンナティという歌い手の喉を専門とする高名な医師もいました。
ベンナティ医師にかかった時のことをデルサルトはこう回想しています。
私は声に何か本質的な問題がひそんでいると分かっていました。それで医師にこう言いました。
「歌う時に感じる痛みを止めるのにいい方法はないでしょうか?」
「1つだけ効果的な方法があります。それは歌うのをやめることです。もしお知りになりたければ話しますが、そろそろあなたもこの意見に従うべき時が来たと思います。なぜなら、あなたは自分の喉を酷使しているように見えますからね。」
デルサルトはこの提案に従いませんでした。
それで、自ら自分の声を再教育する方法を見つけなければならない状況になります。
なんだかどこかで聞いたことあるような、、
しかし、どうやってその方法を見つけようというのでしょうか?
Thus I consoled myself and prepared to follow, with all the strength of my being, the conquest of the science which was to make of me a great artist.
(XXXIV, Address of François Delsarte before the Philotechnic Society of Paris, translated from unpublished manuscripts, from Genevieve Stebbins “Delsarte System of Expression” 1885)
科学を学ぶこと、何よりも芸術を学ぶことは、疑いなく強い力の源を提供してくれる。
このように私は自分をなぐさめ、全力をもって、偉大な芸術家になるために科学を極めるべく決意を固めた。
(抄訳:太字部分のみ)
声を取り戻すためにデルサルトが頼ったのは、科学的な方法を学ぶこと、そして芸術への思いでした。
後になって、芸術すべてに通用する原理原則を考える際も、科学的方法を応用するようになります。
(つづく)
参考文献:
Genevieve Stebbins “Delsarte System of Expression”
2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師