カイロ、偉大なる文明発祥の地、、なのか?
こんにちは!ハリ弟子です。
今日は、鍼灸ともアレクサンダー・テクニークとも関係のない話題です。
浅川 芳裕著『カイロ大学』を読みました。
以前にもブログで触れたことがありますが、ハリ弟子も若い頃、カイロに住んでいたことがあります(>>カイロ地下鉄のほほえましい日常)。
エジプト政府奨学金によるアラビア語語学留学でした。
と言うと聞こえはいいのですが、実態はなかなかのカオスで、先生が来ないのは当たり前。
来ても、アラビア語初心者に最初っからエジプト方言のアラビア語でぶっぱなすスパルタぶりでした。
ちょっとイメージがわきにくいかも知れませんが、例えて言えば、日本語を学びに来た外国人に、標準語で書かれた教科書の内容をこてこての関西弁で説明するようなものです。
エジプトと言えば古代文明、夕日に映えるピラミッドといった情緒あふれる風景が目に浮かびますが、現実のカイロをディープに知りたい方にこの本はうってつけです。
ネタばれになるので本書の中身にはあまり触れませんが、ハリ弟子は、浅川さんがエジプトをいわば「強制退去」になるのとほとんど入れ替わりにカイロに行きました。
なので、重なってはいないのですが、一度だけ現地でお会いしています。
時期的に、秘密警察で危ない目に遭って帰国してからまだ数か月後くらいだったと思います。
仕事か何かでエジプトに再来していました。
官憲ににらまれてるのにまた来て大丈夫か、と普通は思いますが、「パスポートを新品に替えたらノーチェックでした。」とほがらかに語っていました。
このエピソード1つで、本書がいかに普通の日本人滞在者には書き得ないクレイジーな内容か分かろうというものです。
エジプトという国は本当に何でもありのところです。
例えば、ビザ1つとっても、当時(20年くらい前)の日本の大手企業駐在員ほとんどが観光ビザで仕事をしていました。
観光ビザには、“WORK IS NOT PERMITTED”と書いてあります。
つまり、違法就労です。
エジプト側に何度も労働ビザへの切り替えを頼んだものの「今まで、観光ビザで仕事をしてきて何か問題はあったのか?」と頭が痛くなるようなことを言われて、やむなくそのままにしていました。
そういえば、駐在員ではありませんが、20年以上、観光ビザを更新しながら働いているという強者もいました。
その一方で、ハリ弟子が行っていたアラビア語学校からアフリカ系の学生がごそっといなくなったことがありました。
労働ビザがないのに働いているところを当局に見つかり、退去処分になったと聞きました。
アラビア語学校は、そういう経済難民のような人たちが合法的に滞在するための受け皿でもあったのでしょう。
そんな理不尽が、当時はとても許せませんでした。
浅川さんも本書の末尾で書かれているように「あまりにかけ離れた理想と現実のはざまで、いつしか出口のない袋小路に迷い込んだような気が」していたのです。
もちろん、浅川さんがカイロ大学で経験されたカオスぶりや理不尽とは比べるべくもないですが、あの空気感はなんとなく分かる気がします。
人生には大なり小なり理不尽がつきものです。
そんな時、理想論だけでは何もなりません。
目の前の現実から出発していかに生きるか、その切り替えが難なくできるようになった時、ふと思い出すのです。
カイロのあの日々も無駄ではなかった、、、、、
のかな?
2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師