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bodytune(ボディチューン)音楽家のための鍼灸

メッセージは明確な意図とともに

" アレクサンダー・テクニーク "

2018年2月9日

こんにちは!ハリ弟子です。

 

TEDのスピーチで面白い動画を観ました。

 

グレッグ・ゲイジの『自分の脳で他人の腕を操る方法』です。

 

左の女の子の腕から採った運動神経の電気信号を、右の男の子の腕に伝えて、同じ動きをさせる実験です。

 

筋電義手があるくらいだから原理は分かりますが、経皮的に電気を伝えるだけの簡単な装置でこれだけ鮮やかに動かされるとびっくりします。

 

まあ、皮膚から浅い尺骨神経を使うのが味噌とか、信号がどうであれ神経を感電させれば筋肉は収縮するので、左の女の子の神経活動を「コピー」とまでは言えないんじゃないかとか、つっこみはありますが、右の男の子の「自由意思」は口上どおり奪われています。

 

見事なデモンストレーションです。

 

アレクサンダー・テクニークでも、ハンズオンと言って、生徒さんに手で触れてガイドすることがあります。

 

人によっては、ハンズオンによって自分が自分ではないような感覚になります。

 

そして、難しい楽器のフレーズなど、先生の手があるとできるけど独りではできない、みたいな話になります(実際、こういう話をよく聞きます)。

 

上の実験とハンズオンは同じでしょうか?違うものでしょうか?

 

手の使い方は先生によっていろいろです。

 

かなり強力に手で指示を与える先生もいますし、「こんなふうにも動けるよ」と提案くらいの意図で手を使う先生もいます。

 

前者の先生のもとでは「自分でやろうとしないで」と言われるかも知れません。

 

自分でやろうとすると今までの習慣的な動きでやってしまいます。

 

それでうまく行っていたら、アレクサンダー・テクニークなんか学ぶ必要はありません。

 

うまく行かないからレッスンに来るわけで、習慣から離れた別の体験をするためには、自分でやってはいけない、そんなふうに考えます。

 

後者の先生の場合、選択の主体は生徒さんにあります。

 

先生の手が伝える動きはあくまでも提案です。

 

自分の習慣的な動きと先生の手が誘う動きのどちらを選ぶのか、自分の習慣的な動きに含まれるどれを残してどれを先生の提案する動きに置き換えるのか、生徒さんの方がいっぱい考える必要があります。

 

時には提案の意図するところが分からず、もやっとすることもあるでしょう。

 

未知の体験は常に素晴らしいとは限りません。

 

むしろ、とらえどころがなく、それを表す言葉も思いつきません。

 

「未知(いまだ知らない)」とはそういうことでもあります。

 

ハリ弟子が学んでいるBody Chanceという学校は、どちらかと言うと後者の考え方が強いところです。

 

なので、前者のような強力な手を使う先生はあまり経験したことがありません。

 

Body Chance校長のJeremyは、かつてパトリック・マクドナルドという先生のレッスンで「自分でどうなったのか知らない間に立って」いて、「自分で知るより前に、座っていた」そうです。

 

ここまで、ハリ弟子は前者のタイプの手を「強力な」と表現してきました。

 

「強力な」と言うとその方が良さそうな気がしますが、ここにはその意味はついていません。

 

後者の手が「弱い」わけではありません。

 

むしろ、両者が共通して大切にしているのは、先生の意図が明確であることです。

 

後者のタイプでも、提案はそれこそ「強力」かつ明確な意図を持っています。

 

手で生徒さんの体に伝えるメッセージは変わりません。

 

レッスンのルールとして生徒さんの自由意思をどこまで尊重するか、それはその先生が「アレクサンダー・テクニークを」教えるのか、アレクサンダー・テクニークを使ってやりたいことができるようになる「プロセスを」教えるのか、の違いであるように思います。

この記事を書いた人

2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。

2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。

はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師

 

カテゴリー: アレクサンダー・テクニーク. タグ: .
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