ツボでパフォーマンスが上がる?
当院の施術ではツボに鍼をして試奏してもらい変化を確認しながら進めていきます。
以前、声楽の方の背中のツボに1つずつ鍼をして声出ししてもらったことがありました。
鍼1本だけして声出ししてもらい、その鍼を抜いて別のツボにやはり1本だけ鍼をして声出ししてもらうのを繰り返したのです。
すると、あるツボに鍼をしたときに急に声の響きが増しました。
ご本人も思ったのと違う(いい意味で)声が出たので少し驚いていました。
なので歌い手の技術でわざと響きを変えたのではなさそうでした。
また1本ずつ鍼をして抜いてを繰り返しており、声出しは鍼をした直後にしてもらったので、ツボへの刺激と響きの変化になんらかの相関があると考えてよいと思いました。
ただこのときは主訴とは関係のない変化だったので「おもしろいですねー」で終わってしまったのですが。
施術の前後で本人も想定外の音が出ることはよくあって、ツボへの鍼刺激 → 音が変化 というのは普遍的な現象と考えてよいと思っています。
注目したいのは本人がねらったわけではないのにそういう音が出ることです。
つまりここでの音の変化に本人の演奏技術は関与していません。
変わったのはツボへ鍼刺激することによる体のコンディションです。
だとすれば、音の良し悪しの中には技術ではなくコンディションに起因する要素が含まれているはずです。
整動鍼では体を動けるように、動きやすい体の状態に調整します。
パフォーマンスを上げたいとき本人にできることは技術の向上であり、そのためにたくさん練習します。
もちろんそれは大前提なんですが、努力のわりに結果がついてこないとしたらコンディションの部分を疑ってみるのもありかなと思います。
動ける状態にしてから練習した方が技術も上がりやすいでしょうしね。
ということでパフォーマンスはツボでも上がる可能性があるという話でした。
2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師