ツボ・スナイパー
先日は整動鍼の勉強会に参加してきました。
そこであらためて言われたのは、ツボは(原則として)皮膚面に垂直にとらえること。
グレイの解剖学から骨格の側面図を借りてきました。
赤い点がツボとします。
患者さんの体勢にもよりますが、骨格の隘路にツボを追い込むと考えたらBの取り方も有りです。
僕の場合は骨の形を意識してB寄りの取り方になっていました。
ところが鍼の手技としてもっとも確実性が高いのは皮膚面に垂直に刺入することです。
そこまで考えてツボを取るとAの方が理にかなっているのですね。
もちろんBの取り方をしてBの矢印の方向に刺入してもいいですが相応にむずかしくなります。
またBの取り方をしてその場所から皮膚面に垂直に鍼を入れたら、、これは完全にツボを外しますね。
今までツボの感触はあるのに鍼を入れたらスカスカだったのはこれか、と思い当たりました。
そんなことがあってからの昨日はばね指の患者さん。
ばね指にはこの図みたいに背中のツボを使います。
自分にとって慣れ親しんだやり方を封印し、理詰めで考えて、高い位置からの視野と身体感覚を参照しながら皮膚面に垂直にツボのエリアをしぼりこみました。
はじめは1センチ弱の幅の中に、そこから1/3の幅に、さらにせばめてその1/2にという具合にできる限りせばめて、最後は押す力とツボの反発する力が拮抗して圧覚が消滅します。
これはあからさまに感じたらすでにずれてるやつだなと思って、そのままそこに鍼をしました。
すると「ひっかかりが軽くなりました」と患者さん。
実はこのときは同じツボに2度目のチャレンジをしていて、1度目のときはなんの変化も起こりませんでした。
ちょっとずれててもそれなりに効くことも多いのですが、こういうシビアなツボもあるのですね。
すごい世界を見させていただき、この患者さんには感謝です。
ところで長良川 輝という伝説?の鍼灸師をご存じでしょうか?
狙撃手の経験を生かして800mの遠距離から正確にツボに鍼をすることができるそうです。
800mはさすがに無理ですが、このときのツボが取れた感覚はまさにこのスナイプだと思いました。
2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師