ツボ選びは動きで読み解く
昨日こんな症例をツボネットにアップしました。
整動鍼の選穴はだいたいにおいて痛むその場所に鍼をしません。
この症例でも痛む背中には1本も鍼をしませんでした。
背景には連動という考え方があります。
体はどこか1か所が動くと他の部分も連られて動くようにできています。
筋肉が収縮するとまわりを引っ張ります。
引っ張られたところはさらにその他のところを引っ張るので引っ張りの連鎖が起こります。
アレクサンダー・テクニークの「全部一緒に、1つ1つ順番に」と似てますね。
引っ張られっぱなしだと最初に引っ張ったところに全体が連られて姿勢のバランスが崩れるので、あるところで引っ張り返す必要があります。
そういう関係性で結びつけられた点が体には無数にあってその一部をツボとして利用している、簡単に言うとそれが整動鍼の理論です。
こう書くと拮抗筋とか筋膜とどこが違うのかという気になると思います。
引っ張りは力学の話なので組織の種類ではないんですね。
筋肉も筋膜も腱も靭帯も体はありとあらゆる使えるものを使って運動を形成しています。
ゆえに整動鍼の理論も特定の組織に着目したものとはなっていません。
あくまでも観察して確認された連動の相関に基づいています。
理論の全体像、というか現時点で技術化に成功した部分は整動鍼のセミナーで学ぶことができますが、僕はこのDVDからも多くを学びました。
鍼をすると体の他の部分がどうなるかが臨床例とともに説明されています。
ただし五月雨式に出てくるので全体像を頭に描くのはそのままではちょっと難しい。
そこで僕は抜き書きした連動の相関を個人用メモとして図にまとめています。
こんな感じ。
元ネタがDVDの知財なのでぼかしました。
上の症例で僕は脊椎の上下の動きからツボを選びました。
でもDVDが示唆する連動を使うと手足のツボを使っても類似の効果をねらえます。
一手でうまく行かなければ次の手を使えば良いわけです。
その際、連動を読み誤っているのか、同じ連動系の中でもっといいツボがあるのか、ロジカルに考えることができます。
うまく行かなかった一手が失敗ではなく、次を考えるための重要なヒントになるのですね。
こういうところが性に合っていると感じます。
自粛でしばらく中止になっていましたが、来月は久々にセミナーがあるのでまたいっぱい勉強してきます。
2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師