攻めている本
某鍼灸師のブログの過去記事で紹介されていたのを見て読んでみました。
寄金丈嗣著『ツボに訊け!―鍼灸の底力』(筑摩書房)
すごいことを活字にするなあと思いました。
鍼灸の業界の人にとって都合の悪いことも容赦なく書かれています。
目次を繰ってまず目を引いたのがこの一文。
「経絡は迷信? 経穴は妄想?」
攻めるなあと思いつつも、著者は経絡治療学会の機関紙『経絡治療』の編集人をしたこともある人物です。
相当な知識と信念をもってこう書いたことが分かります。
他方で東洋医学的なものの考え方について一般の人にも分かりやすく書かれています。
読み手を選ぶ感じはしますが著者なりの視点から鍼灸の良い面悪い面を正直に提示していて、これはこれで誠実な態度だと思いました。
鍼灸に限らず代替医療系の施術はどうしても不明瞭なところが残ります。
(本当は現代医学も不明瞭さはありますが、少なくとも学問的には不明瞭なことを認識しているのが前提です)
やってみて効果があった場合は(時系列的に前後で明らかに状況が改善したなど)あまり問題になりませんが、効果がなかった場合にこの不明瞭さが術者側の言い訳に使われることが多々あるように思います。
代替医療のロジックはたいていなんでも説明できるようにできてますからなんでも言い訳できます。
だからやはりこれは禁じ手にすべきで、さもないと無自覚な詐欺と言われても仕方がないようなことが起こります。
僕の場合はアレクサンダー・テクニークもやるし、アーユルヴェーダをやる知り合いもいるので、この構図って鍼灸だけじゃないよなあと思って読みました。
2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師