火鍼
以前、中医学系の先生のところに勉強に行ってたことがあります。
その先生は台湾の中医の先生に教わった方でした。
台湾の中医というと分かってる人には形容矛盾な感じがします。
中医学は大陸の中国において新たに制定された医学だからです。
それとは別に国民党とともに台湾に渡った鍼灸の担い手がいたそうで、こちらは清朝末期の宮廷で実践されていた医学らしいです。
とにかく効くツボということで奇穴をよく使った気がします。
そこで体験させてもらった一番派手な手技。
それが火鍼です。
本来は理科で使うアルコールランプで鍼を真っ赤に熱し、真っ赤なまま一気に体に刺入します。
真っ赤なうちに行かないと刺さりません。
見てのとおり冷めるのが速いのでスピード勝負です。
当然ツボの位置はけっこうアバウト。
だいだい半径1cmくらいの中におさまればいいとか、、、
火鍼は火であぶるので消毒がいりません。
子供のころ木のとげが手に刺さった時、親が安全ピンの針先をあぶって処置してたのを思い出します。
アルコールがなかった時代の(器具の)消毒法でした。
古代の人も同じ理由で鍼を燃やしたのかも知れません。
もう1つ最近思いついたことがあります。
新型コロナで「免疫力アップ」とよく言われるようになりました。
かつて結核が不治の病だったころ、お灸でわざと火傷をつくる治療法がありました。
派手に痕が残りますが実際に治った人がいたのであなどれません。
機序はよく分かりませんが、火傷で白血球の数が増えるという話は聞いたことがあります。
免疫力、火傷で白血球ときて、火鍼でも免疫系の活動が亢進されるのかしら?と連想してしまいました。
火鍼なら痕を残さずに火傷をつくることができます。
お灸と違って直径1mmに満たない鍼の周囲と刺さった深さの分しか火傷しないからです。
そんな理由で古代の人は火鍼を発明したのかも知れませんね。
2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師