コロナの時代の鍼灸院のあり方~地元のお客さんがいらして考えたこと
鍼灸院には地域密着型とニッチ追求型があります。
地域密着型はあらゆる人を相手にしますが来院者は近隣の在住者メインです。
ニッチ追求型は得意分野しかやらない代わりに来院者は他県など遠方からもいらっしゃいます。
それぞれの鍼灸院が何をしたいかなので、どちらがいい悪いではありません。
bodytuneは音楽家専門で後者です。
ところが先日突然地元の方からお問い合わせをいただきました。
アトピー性皮膚炎に枇杷の葉温灸してくれるところを探しているとのご相談。
枇杷の葉温灸決め打ち。
他の療法全部試してだめで、もうこれしか残ってないって雰囲気で緊張しましたが、喜んでお受けしました。
3年前に枇杷の葉温灸の話をブログに書いていて、それを見てくれたようです。
ありがたいことです。
ブログに書いたとはいえうちは枇杷の葉温灸に特化してるわけじゃないのでちょっと驚きました。
特化したところはそれこそ枇杷の葉しかやりませんから。
でも新型コロナが怖い昨今、遠くの名人より近くの施術者の方がいいのかも知れませんね。
公共交通機関を使わず、歩きや自転車で来られれば密集・密閉・密接が避けられますし。
考えて見たら、bodytuneでは院内でも三密を避けられるよう元々工夫していました。
密集について、職業音楽家の方は不調や故障が即仕事を失うことにつながるので、こういうところで他の同業者と顔を会わせるのを嫌がる方が多いです。
なのでうちの待合は誰とも会いません。
前の方が帰った後で次の方が来られるようにすごく間を空けているのです。
これは逆に経営的にどうなんだ?という話ですが、「接触8割減」をうちで実施したら1日の来院者数が1を切ります(笑)。
密閉について、これは鍼灸院なら床の1/7以上の広さの窓(または換気装置)が法律で義務付けられています。
うちの場合は換気扇と窓と両方あるので換気抜群です。
最後の密接、こればかりは患者さんの体に触れないと施術できないので「2m以上離れて」というのは無理ですが、消毒は資格取得の養成訓練校でそれこそ厳しく仕込まれます。
鍼という体内に刺入する道具で施術するので当たり前といえば当たり前ですね。
加えて今は施術中マスクして言葉数も少なく済ませるなど、心配なことが起こらないよう可能な限りの対応をしています。
ウイルスの感染リスクをゼロにすることは残念ながらできません。
そんな中で耐えられない辛さを楽にするために外出するかどうか、1人1人が問われるようになってしまいました。
リスクを取って出かける方を受け入れる側として、僕としてはできる限りのことをしていきます。
そしてその一部は音楽家専門のニッチを追求する中で培われたスタイルが役に立っているのです。
さて、棒もぐさって燃やし続けると先が丸くなっちゃいます。
枇杷の葉温灸で使う場合には布と不燃紙で養生した上から体に押し当てるので先が平たんな方が熱が入っていいのです。
思い切ってはさみで先を切ったらいい感じの断端になりました。
落としたもぐさは竹筒の箱灸に使えるので無駄になりません。
うちで使ってるのは神田のお灸屋さん「三景」で扱ってるネパールの棒もぐさ。
直径2.8cmあります。
3年前にいろいろ試して太ければ太いほど良かったので、手に入る一番太いのを使ってます。
作り方の動画がありました。
こんなふうにして作るんですね。けっこう力要りそうです。
枇杷の葉温灸も進化し続けています。
近くでも名人の方が良いに決まってますからね!
2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師