鍼灸の3大スタイル
こんにちは!ハリ弟子です。
先日、鍼灸の3つのスタイルをご紹介しました。
現代的治療、中医学的治療、経絡的治療です。
患者さんにとってはどうでもいいことと言いつつ、そのままではちょっと分かりづらいので補足しようと思います。
現代的治療
現代医学の解剖学、生理学に基づいて病気のメカニズムを見立てて鍼をします。
鍼をする対象は主に筋肉や神経になりますので、比較的深く鍼を刺します(だいたい1~2㎝くらい)。
刺した鍼と機械をつないで、電気をかけたりすることも多いです。
どちらかというと運動器系の不調(肩こり、腰痛、筋肉疲労)や痛みの緩和が得意なイメージがあります。
わりかしまっすぐに鍼を刺すことが多いので、手技自体はそんなに難しいものはないのですが、目的とする筋肉や神経に正しく鍼を到達させる必要があるので、解剖学をしっかりおさえていて、体の中の様子を3Dで思い描けなければなりません。
また、現代医学に基づいて病気のメカニズムを見立てるので、そこがよく分からないとそもそも鍼をどこにしたらいいか分からないという難点があります。
中医学的治療
古典に基づいて、現代の中国で再構成された鍼灸です。
したがって、現代医学的な解剖学、生理学ではなく中国古典医学のそれを重視します。
これが何を意味するかというと、病気の見立てが必ずできるということです。
具体的には、舌診と言って、舌の状態を重視します。
舌の状態に応じて、病気の原因を患者さんの体質レベルで捉えますので、必ず何らかの見立てが成立し、治療法も組み立てられます。
もっとも、それで治るかどうかはまた別問題で、見立てを間違うということはあります。
しかし見立てができないことは基本的にありません。
手技の特徴としては、わりに太い鍼を深めに刺します(だいたい1~2㎝くらい)。
日本の鍼と違って、鍼管を使わずに直接刺します。
痛そうに見えますが、痛くなく刺す技術があるので、思ったほど痛みはありません。
刺し方はまっすぐに刺す方法が多く、技術自体はそれほど難しくなく見えますが、ツボの位置決めや刺す角度、深さがうまくないと同じようにやっても効果が出ないような印象があります。
どんな患者さんでも見立てができるので、運動器系だけでなく、内臓や自律神経系の症状、精神的疾患なども守備範囲としています。
経絡的治療
古典に基づいているのは中医学と同じですが、日本で発展してきた治療スタイルです。
脈診と言って、手首の脈を診て患者さんの病態を把握することが多いです。
脈さえ診れれば必ず何らかの見立てができるので、治療法が組み立てられないことはありません。
中医学との大きな違いは、手技が鍼管を使った日本式の鍼を使うところと、基本的に鍼を浅く刺すところでしょう(人により違うかも知れませんが)。
経絡的治療では、経絡の流れに沿って(あるいは逆行して)鍼をするのが重要視されます。
そのため、鍼の刺し方も皮膚面に対して斜めになることが多いです。
斜めに浅く(1mm~5mm程度)刺すのが技術的には一番難しい気がしています。
見立てが患者さんの病態に合っていて、かつ難しい刺し方を上手にできないといけないので、同じやり方でやっても鍼灸師によって効果のあるなしが一番出てしまうスタイルであるように思います。
うまい鍼灸師の治療を受ければ、ソフトな刺激で効果がありますので、患者さんの負担が小さくてすみます。
反対にうまくないと、効いたかどうか分からない治療になってしまいます。
中医学と同様、守備範囲も広いです。
中には、経絡的治療でうつ病の治療を得意とする鍼灸師もいるくらいです。
そこまで行かなくても、原因不明の慢性的な内臓の症状や自律神経系の疾患を得意とする鍼灸師が多いです。
2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師