ツボの不思議
こんにちは!ハリ弟子です。
咬筋がだるくて、耳の聞こえ方もなんとなくボーっとしているというトランペット奏者の方がいらっしゃいました。
顎関節症までは行かないし、突発性難聴までは行かない、けども違和感があって不安というレベルです。
普通なら気にならずにそのままにしてしまうのでしょうが、仕事がトランペット奏者、かつ多忙ということで、このまま行くと仕事に支障が出るかも知れないという予感があったようです。
普通は「あごがだるい」と言うところ、咬筋と特定してくる辺り、さすがのプロの体調管理だと思いました。
さっそくあごまわりを触診すると、確かに咬筋が固く締まっています。
ここで咬筋に直接、鍼をする方法もありますが、ハリ弟子は手のツボ、合谷(ごうこく)を使いました。
合谷を触ってみたら、ちょっとゴリっとしたこりが触知できたからです。
合谷に鍼を入れて、もう一度、咬筋を触診するとさっきまでの固さがすっと取れています。
ツボがうまく取れるとこういうことが起こります。
この患者さんとは別に、耳鳴りの方を診ている時、やはり手のツボである中渚(ちゅうしょ)を使って胸鎖乳突筋起始部の固さがすっと取れたことがあります。
胸鎖乳突筋起始部は耳の真下ですから、ここが固くなっていると耳の奥の内耳にも影響が出ているだろうとは誰でも推論します。
普通は、翳風(えいふう)という胸鎖乳突筋起始部付近のツボを使います。
ところが、中渚(ちゅうしょ)に小さな硬結が感じられる時はこちらに鍼をすることで同時に翳風の辺りが緩むこともあるのです。
そして、耳鳴りも軽減していきます。
手のツボがどうしてあごや耳に効くのか?
理屈はよく分かりませんが、目の前で何度となく起こってきた事実です。
ツボとは何とも不思議な反応点です。
うまくツボがとれて、患者さんの体に変化が起こると、ハリ弟子は妙に冷静な落ち着いた気分になってしまいます。
人の体がみな備えている精妙さに対して、畏敬の念と言いますか、自分はそのほんの端緒に触れることができたに過ぎない。
そんな気持ちになるのです。
2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師