枇杷の葉温灸のやり方
僕の枇杷の葉温灸は鍼灸学校時代に教わったものです。
お世話になった先生にO先生という方がいました。
O先生は子供のころ難治性の病気にかかっていたのが、枇杷の葉で救われたそうです。
今見るとそんなことが信じられないくらいお元気です。
そのO先生が1度だけ枇杷の葉温灸をやって見せてくださいました。
その日は実家に立ち寄って朝採れの新鮮な葉っぱを持ってきてくれました。
子どものころ庭に投げた種が育って今では2階に届く立派な木になっているそう。
高いところに生える若葉は温灸には不向きで、むしろ低いところに生えている大きくて色の濃い葉っぱが良いとおっしゃってました。
将来、庭のある鍼灸院を建てられたら絶対植えますねえ、枇杷。
葉っぱは裏表をきれいに洗って水に漬けておき、使う前に水を拭き取ります。
3~4で使う紙はポストに入ってるチラシなどでOK。
ただし表面がツルツルの燃えにくい紙を使います。
O先生は紙箱は使っていませんでした。
本当は八つ折の紙に直に棒灸を当てれば良いですが、それだと灰が散って後の掃除が大変です。
そこで折り紙して作った紙箱を置いて、その中で棒灸を当てるようにしてます。
紙が1枚余分にはさまりますが、棒灸を当てる時間を調節すればいいのかなと思ってます。
紙箱に使う紙は八つ折の紙と同じく表面がツルツルのチラシでOKです。
印刷の質のせいか、インクから体に悪そうな臭いがするのに時々当たるので、そういう場合は躊躇なく捨てて違う紙に換えます。
棒灸の当て方は、僕の場合はわりとしっかりと圧着させます。
ふんわり当てると枇杷の葉と肌の間に空気が入って、葉っぱが相当熱くなっても気づかず、葉をずらした瞬間「あちちち!」となりかねないからです。
同じ理由で水に漬けた後、葉の表面の水分はしっかりと拭き取っています。
中途半端に濡れたままだと棒灸を当てたところの水分が熱せられ、温灸の熱というより葉っぱと肌の間の水分の熱で「あちちち!」となるからです。
枇杷の葉温灸はお道具が派手に見えますが難しさはそんなにありません。
人の手の上手い下手より良い葉っぱかどうかが重要。
裏を返すと誰でもできる方法です。
こういうのは1回でもやったことあるかどうかで全然ハードルが変わります。
O先生が見せてくれなかったら僕も今やってないでしょう。
実は先生の授業は枇杷の葉温灸の時の1回だけでした。
学科が違ったのでほとんど話したこともありません。
それが今でもこうして使っているのは不思議なもので、先生にはとても感謝しています。
2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。
2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。
はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師