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bodytune(ボディチューン)音楽家のための鍼灸

サックス奏者の指の不調、原因は?

" 指の不調 "

2019年11月14日

数年前から左の運指に違和感があり不調を抱えられたサックス奏者の方。

 

・指が浮いてくる

・指の上りが遅い

・力が入りにくい

・ふるえる

・特に速いパッセージで指が思うようについてこない

 

違和感を具体的に表すとこんなようなことでした。

 

これすべてが常にあるわけではなく症状には波がありますが、もっとも悪化した時は右手にも同様のものが表れ、また楽器以外のものを持っても同じ感覚がありました。

 

また、見た目や演奏で分からなくてもご本人としては、まずい状態にはまり込んだらそれと分かる感覚があります。

 

施術前後の動画を公開する許可をいただきましたので、今回はそれをアップします。

 

 

実際に吹いていただくと問題が発生しているのは主に指ですが、その原因は手首の可動性にあるように見えました。

 

なので使ったのは手首の可動性を良くする整動鍼のツボです。

 

ターゲットは手首なんですが、ツボは手首にはありません。

 

手首を引っ張って固定するようにはたらいている筋肉のこりです。

 

もっと体軸に近い腕や肩、そして背中に鍼をします。

 

ここまでで再度吹いていただいたのが0:14以降。

 

感覚的にはだいぶ良くなりました。

 

ここからさらにアレクサンダー・テクニーク的アドバイスを加えて、左手で楽器を持つ新しいプランを提案。

 

鎖骨、肩甲骨も含めた腕の構造まるごと全部使って楽器にアプローチしてもらいます。

 

こうすると腕の長さが余るので後ろに引きたくなりますが、ここで肩甲骨を後ろに引くのではなく肘を曲げる深さで調節します。

 

キーと指の位置関係が相当変わるので楽器の角度やストラップの調整が必要かも知れません。

 

微調整してキーと指のおさまりを確認してから吹いてみたのが0:34以降です。

 

多少慣れは必要なんですが、楽器をしっかりつかんでいる感じが増したのと、高音の響きが変わったとの感想をいただきました。

 

今回の流れをまとめると、症状があるのは指 → 手首の可動性が直接の原因と推論 → 手首が動けるような上肢帯(鎖骨、肩甲骨)の可動性 → 上肢帯が動けるような脊椎の可動性、の順序で考えました。

 

生物の世界では1つの形態が複数の機能を兼ねることがよくあります。

 

ある1つの形態を獲得することで複数の問題が同時に解決され、進化の次の段階に進むわけです。

 

そういう意味で、指の問題にアプローチした結果、高音の響きという別の感想が出てきたのは興味深いことでした。

 

体っておもしろいですね!

この記事を書いた人

2016年、東京都練馬区の江古田にて音楽家専門の鍼灸治療院を始める。

2021年、東京都品川区の鍼灸院「はりきゅうルーム カポス」に移籍。音楽家専門の鍼灸を開拓し続ける。

はり師|きゅう師|アレクサンダー・テクニーク教師

 

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